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三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 
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2008年11月10日
三原 淳雄

東京東海ウィークリー : 巻頭言(月第一週連載)
 

ドルのピンチは日本のチャンス

世界経済の一位、二位を占める日米の政治が大きく転換しつつある。 
 なかでもアメリカの新政権の経済政策が否が応でも国際経済へ大きな影響を与えるのは必至だが、悩ましいのは新政権発足と同時にあの7,000億ドルの金融救済法案をはじめ、前政権から一兆ドル余の負債も同時に引き継ぐことである。 
 日本がバブル崩壊で「失われた十年」を過ごしていた間も、アメリカは繁栄を謳歌し、一時はこの繁栄は永遠に続く「ゴールディロックス」現象(低インフレ下での安定成長)とすら言われたこともあるほど、アメリカ経済の強さは際だっていた。 
 しかし今回の金融危機ではこの繁栄を可能にした仕掛けが壊れ、永遠に続くと信じていた住宅の値下がり、そしてその住宅をベースとした証券化商品の連鎖的なクラッシュとなって、ゴールディロックスは一瞬の夢と化してしまった。次なる問題はこの後アメリカ経済はどうなるか、そして世界経済や日本経済は・・・ということだろう。 
 巷では100年に一度の津波だの、大恐慌時代の再来だの、アメリカ一極支配の終りだの、ドルの暴落、基軸通貨としての地位失墜だのと何とも騒がしいが、では日本はこんな状況のなかでどうあるべきかという議論が少ないのは大いに気になるところである。 
 ジャパンパッシング、ジャパンナッシングと散々言われただけに、日本は自虐的で内向きになり過ぎているのではないだろうか。 

日本売出しのチャンス

 ご案内のようにウォール街はいまや悲惨な状況になっているが、ではドルも同様にこのままずるずると基軸通貨としての地位を失っていくのだろうか。ドルに代わるだけの力がある通貨があれば話は別だが、ユーロはECB(中央銀行)はあるものの財政は各国バラバラでまとまりに欠けるし、人民元にはまだその資格は備わっていない。歴史を見ても軍事力の裏づけのない通貨が基軸通貨になった例のないことから見れば日本の円もその資格がない。当面ドルが基軸通貨であり続けるのだろう。 
 そうだとすれば日本が為すべきことは、ともすれば信頼を失いそうになっている基軸通貨としてのドルの信認を支えることである。 
 このままでは住宅と金融に支えられてきたアメリカ経済の不況は長く続く可能性も強い。 
 そのアメリカを支援するといったら大袈裟だが、ドルの信認を助け新興国の経済を支える役割を、これからの日本は真剣に考える時が来たのではないだろうか。 
 日本が世界に貢献出来る分野は広いはずである。国内経済の活性化で内需振興を図るのが理想的だが少子高齢化が進む現在、これには限界がある。しかし持てる技術を総動員して、環境や省エネ、省資源など諸外国と積極的に協力することで、ドル依存の強い中小国や新興国を支援することも可能になってくる。 
 折から11月15日からワシントンで金融サミットが行われる。ブレトンウッズ協定の見直しなど様々な議論が行われることを大いに期待しているが、同時に日本にとっては主導権を発揮するチャンスでもある。 
 ジャパンパッシングだのナッシングだのとやや存在感の薄れた日本にとって、このピンチは存在感をアピールするチャンスに変える時だろう。