三原淳雄の言いたい放題 mihara-atsuo.com
プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 
  ホーム ＞ New York Today ＞ バックナンバーの一覧 ＞ 個別記事

2004年08月23日
MAXIM Group
Executive Managing Director
森 崇

Heard On The Street - 米国株相場概況
 

原油価格が下落。イラクの石油積み出しが２週間ぶりに正常化したことが背景。また、ブッシュ米大統領はロシアのプーチン大統領から、ロシア企業が原油生産と輸出を拡大しつつあるとの連絡を受けたと言う。ロイター通信が報じた。これを受け、株は朝方高かったが、上値追い余力に欠ける展開だった。小売世界最大手のウォルマートに悪材料が出た。８月の既存店売上高が前年同月並み、もしくは最大２％の増加にとどまる可能性があると言う。従来の予想は前年同月比最大４％増だった。前年８月の売上高を押し上げた児童減税還付が今年は実施されなかったことにも圧迫される、との見方を示した。同社株他、ライバルのターゲット株も下落した。また、ＪＰモルガン・チェースは、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、モルガン･スタンレーの証券大手４社の利益予想を下方修正した。株式相場不振が背景。これを受け、証券株を中心に、銀行株も連れ安。一方、今週号のバロンズ紙がポジティブな記事を掲載したことから、心臓用ステントメーカー最大手のボストン・サイエンティフィック、後発医薬品メーカー最大手のマイラン・ラボラトリーズ、求人サイト最大手のモンスター・ワールドワイド株が散発的に買われた他、サンフォード・Ｃ・バーンスティーンが投資判断を引き上げたことを背景に世界２位の情報処理会社、エレクトロニック・データ・システムズ株が上昇。更に、小荷物輸送大手のフェデックスは、国際部門と陸上輸送の好調を理由に、2005会計年度（2004年６月−2005年５月）２度目の業績予想引き上げを明らかにし、大幅高を演じた。結局ダウ指数は前日比37.09ドル安の10,073.05ドル、ナスダック指数は同0.68ポイント高の1,838.70で引けた。 
 
（相場にとっての強材料） 
１．玩具小売り大手のトイザラスが23日寄り前業績発表。第２四半期（５−７月）の売上高は前年同期比3.9％減の20億2000万ドル、純損益が6100万ドルの黒字と、前年同期の1100万ドルの赤字から黒字に転じた。１株当たり利益は28セント（前年同期は５セントの損失）だった。予想売上高は21億ドルだった。トイザラスは現在、ベビー用品部門のベイビーザラスのスピンオフ（独立、分社化）を計画している。 
２．心臓用ステントメーカー最大手のボストン・サイエンティフィック株に好材料。今週号バロンズ紙がポジティブコメント。同社株は、製品回収を懸念した値下がりで、割安感が出てきたと言う。 
３．米ディスカウント小売り３位のＫマート・ホールディングは23日、住宅関連用品小売り最大手、ホーム・デポに、18店舗を現金２億7100万ドルで売却すると発表した。ランパート会長は、Ｋマートの現金準備金を増やし、収益力を上げるため、店舗売却や品揃え商品の削減などを進めている。 
４．後発医薬品メーカー最大手のマイラン・ラボラトリーズに好材料。今週号バロンズ紙がポジティブコメント。薬品大手キング・ファーマシューティカルズのセールス部門との統合が順調に行けば、マイランの株価は２倍の水準に上昇する可能性があると言う。 
５．世界２位の情報処理会社、エレクトロニック・データ・システムズに好材料。サンフォード・Ｃ・バーンスティーンが、ポジティブコメント。採算性割れの海軍向け契約に関し、悪材料出尽くし感から株価が上昇する可能性があると言う。“マーケット･パフォーム”から“アウト･パフォーム”に引き上げた。 
６．求人サイト最大手のモンスター・ワールドワイド株が上昇。今週号バロンズ紙がポジティブな記事を掲載。モンスターの株価下落で割安感が出てきており、同社が買収の標的となる可能性があると言う。 
７．半導体メモリー開発のアーティザン・コンポーネンツ株が大幅高。同社は、英国のプロセッサー開発企業、ＡＲＭホールディングスに買収されることになった。現金と株式合わせて約９億1300万ドルの規模。売却金額は１株当たり33ドル89セントとなり、23日のアーティザン株終値を42％上回るレベルだった。 
８．小荷物輸送大手のフェデックスは、国際部門と陸上輸送の好調を理由に、2005会計年度（2004年６月−2005年５月）２度目の業績予想引き上げを明らかにした。同社はまた、設備投資を30％強、増額する意向を明らかにした。第１四半期（６−８月）１株当たり利益見通しは１ドル−１ドル10セント。前年同期実績は42セントだった。従来の予想は、90セント−１ドルだった。同社はまた、2005会計年度の利益についても、従来予想の４ドル20セント−４ドル40セントから引き上げ、４ドル40セント−４ドル60セントとした。 
９．香辛料メーカー、マコーミック株の投資判断が引き上げられた。プルデンシャル･エクイティー･グループが“アンダー･ウェイト”から“中立”に。 
10．ソフトメーカー、ファイル･ネット･コープ株の投資判断が引き上げられた。バンカメ証券が“保有”から“買い”に。 
11．ネットワーク機器メーカー、ソナス･ネットワークス株に好材料。第2四半期のEPSは2セント黒字になると言う。前年同期は2セント赤字だった。また、先週ナスダック市場から上場廃止（修正決算の届け出が遅延した為）となった同社は、再上場を申請中と言う。 
12．原油価格が下落。イラクの石油積み出しが２週間ぶりに正常化したことが背景。また、ブッシュ米大統領はロシアのプーチン大統領から、ロシア企業が原油生産と輸出を拡大しつつあるとの連絡を受けたと言う。ロイター通信が報じた。 
 
（相場にとっての弱材料） 
１．小売世界最大手のウォルマートに悪材料。８月の既存店売上高が前年同月並み、もしくは最大２％の増加にとどまる可能性があると言う。ハリケーン“チャーリー”の影響や、就学シーズン控えた学生向け商品の需要が振るわず、従来の予想から下方修正した。従来の予想は前年同月比最大４％増だった。前年８月の売上高を押し上げた児童減税還付が今年は実施されなかったことにも圧迫される、との見方を示した。 
２．ロシアの石油輸出最大手ユコスは23日、今年の産油目標を日量172万バレルと、これまでの目標（同180万バレル）から引き下げた。追徴課税の支払いに向けた、掘削と油田維持に関わる費用削減が響いた。 
３．ＪＰモルガン・チェースは、ゴールドマン・サックス、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチ、モルガン･スタンレーの証券大手４社の利益予想を下方修正した。株式相場不振が背景。 
＊ゴールドマン・サックス･･･今年と来年の通期１株当たり利益は、いずれも８ドル40セント−８ドル90セントの見通しで、従来予想の９ドル−９ドル30セントから下方修正。 
＊リーマン･ブラザーズ･･･同７ドル30セント−７ドル40セントの見通しで、従来予想の７ドル40セント−７ドル50セントから引き下げられた。 
＊メリルリンチ･･･同４ドル30セント−４ドル70セントの見通しで、従来予想の４ドル45セント−５ドルから下方修正された。 
＊モルガン･スタンレー･･･同４ドル30セント−４ドル45セントで、従来予想の４ドル50セント−４ドル65セントから引き下げられた。 
４．ダラス連銀のマクティア総裁がCNBCテレビにて発言。 
　　（要旨） 
＊原油価格上昇は、石油製品価格に波及し、インフレ圧力や景気全体の抑制要因として、やっかいだ。 
＊ただし石油利用に際する企業の効率性向上で、景気拡大ペースが大きく減速するリスクはないと話した。 
＊石油高騰が長期化するようなら、代替燃料の開発や追加的な採掘が進むほか、不採算鉱区の採掘作業が再開するだろう。 
５．半導体最大手のインテルは23日、“ペンティアム”など、コンピューター向けＭＰＵを最大35％値下げした。デスクトップやノート型パソコン、および企業ネットワーク用サーバー向けＭＰＵについて、28種を値下げ対象とした。サーバー向けＭＰＵ“イタニアム”については、７種のうち５種の価格を引き下げた。在庫圧縮が目的。 
６．スポーツ用品販売チェーン最大手スポーツ･オーソリティー株の投資判断が引き下げられた。ワコービア証券が“アウト･パフォーム”から“マーケット･パフォーム”へ。売上高が第2四半期のレベルから戻っておらず、中核事業部門の収益率が鈍化していると言う。 

米国株個別銘柄レポート
〇 ＳＢＣコミュニケーションズ（ＳＢＣ） レイモンド・ジェームスのアナリスト、フランク・Ｇ・ローサン氏が、ＳＢＣコミュニケーションズをマーケットパフォーム（market perform）からアウトパフォーム（outperform）に格上げした。また、プライスターゲットを28ドルとした。
〇 ベルサウス（ＢＬＳ） レイモンド・ジェームスのアナリスト、フランク・Ｇ・ローサン氏が、ベルサウスをマーケットパフォーム（market perform）からアンダーパフォーム（underperform）に格下げした。
〇 ＪＣペニー（ＪＣＰ） クレディ・スイス・ファーストボストンのアナリスト、マイケル・エクスティーン氏が、ＪＣペニーをニュートラル（neutral）に据え置いた。また、12ヶ月のプライスターゲットを40ドルとした。
〇 フェデックス（ＦＤＸ） 運送大手のフェデックスが第１四半期のＥＰＳ見通しを、これまでの予想0.90〜1.00ドルから、1.00〜1.10ドルへ上方修正した。また、2005年通期のＥＰＳもこれまでの4.20〜4.40ドルから、4.40〜4.60ドルへと上方修正した。国際部門と陸上運送部門の業績が好調だったことが要因だという。
〇 トイザラス（ＴＯＹ） 玩具販売大手のトイザラスが、第2四半期の業績を発表した。純利益は6,100万ドルの黒字となり、前年同期の1,100万ドルの赤字から黒字に転じた。売上高は在庫処分で値下げをおこなったことが要因となり、前年同期比3.9％減の20億2,000万ドルとなった。
〇 ウォルマート（ＷＭＴ） １．小売大手のウォルマートが、8月の既存店売上をこれまでの前年同比2〜4％増から、前年同月並み、あるいは最大2％増にとどまる可能性があるとした。これはプレスリリースが報じたもので、フロリダのハリケーンの影響で、75店舗が一時閉鎖となったこと、バック・トゥー・スクールシーズンの販売などが思わしくなかったことが主な要因だという。また、8月の売上高については、今年のレイバーズデーが昨年と比べて遅いこと、児童還元税還付が今年は実施されなかったことなどの影響が、売上を押し下げる可能性があると発表した。 
２．ファースト・グローバルのアナリスト、ミヒー・カンデカー氏が、ウォルマートをマーケットパフォーム（market perform）からモデレートアウトパフォーム（moderate outperform）に格上げした。 
〇 イーベイ（ＥＢＡＹ） カリス・アンド・カンパニーのアナリスト、デービッド・Ｍ・ギャリティー氏が、イーベイをアベレージ（average）からバイ（buy）に格上げした。また、プライスターゲットを100ドルとした。
〇 シスコ・システムズ（ＣＳＣＯ） ダベンポートのアナリスト、ドレイク・ジョンストーン氏が、シスコ・システムズをニュートラル（neutral）からバイ（buy）に格上げした。また、プライスターゲットを24ドルとした。
〇 アプライド・マテリアルズ（ＡＭＡＴ） ファースト・グローバルのアナリスト、クルディープ・コウル氏が、アプライド・マテリアルズをマーケットパフォーム（marketperform）からアンダーパフォーム（underperform）に格下げした。
〇 Ｋマート（ＫＭＲＴ） ディスカウント小売大手のＫマートが、同社18店舗を、住宅関連小売大手のホーム・デポに売却することを明らかにした。これはプレスリリースが報じたもので、売却額は2億7,100万ドルだという。Ｋマートは、先に発表した店舗売却について、24店舗を予定しているとしていたが、その後少なくとも13店舗になると訂正していた。また、今回の18店舗決定に関しては、今年黒字となった店舗を売却対象から外したためだ、と述べた。