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プロフィール
キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2009年12月25日
三原 淳雄

天皇陛下に申し訳なくて
 

 天皇陛下ご即位から20年、お気の毒に陛下のご期待に反しこの20年間は日本は「坂の上の雲」どころか、「坂の下の池」へとじりじり下がってきた。小沢式に勝手に陛下のご心境を忖度すれば「民は何をしているのだ」と、かなりご不満を募らせているのではないだろうか。 
 
 昭和天皇が崩御された時に「文芸春秋」で、国際大学の宮尾教授と「諒闇不況が来る」という対談をしたことがある。若い人はご存じないだろうが、戦前はいまキャリヤーといわれている官僚は勅任官であり天皇の官僚だった。したがって自分が、もし汚職などはしたない行為をすれば、それは天皇陛下に恥をかかせる結果となる。だから清貧に甘んじても国家のために働くのが官僚の役目という意識が強かった。 
 
 国民が「政治は三流、経済は一流」と胸を張っていられたのも、当時の役人が国益を考えて後押ししてくれていたからである。その役人の規範の原点だった。天皇が崩御され昭和が終わると、役人の縛りや規範が無くなりやりたい放題、ばれなければいいとなって役人天国となり、国を誤るのではないか、当然ポピュリズム、衆愚政治となり結果として日本は思わぬ大不況になるだろうという趣旨の対談だった。 
 
 折からバブルを潰せといった大合唱が始まりつつあり、行き過ぎたバブル潰しに対する懸念もあったのだが、案の定バブルを強引に潰した結果「失われた20年」となり「坂の下の池」へとだらだら日本は下り始めたのである。 
 
 さて昭和の時代の日本の勢いは株や不動産市場が元気だったからである。もちろん行き過ぎは市場につき物で「日本を売ればアメリカが4つ買える」など、明らかにバブルだったが、もともと放っておいても潰れるからバブル、それをこのままでは一生家が買えない、何が何でも土地を下げろとか、株を持っている人と持ってない人の格差が広がる、だから株も下げろとなって日本経済はがたがたになってしまった。 
 
 
 
発想を変える 
 
 腰の据わった官僚がいれば、政府に愚かな政策は止めろと進言したかも知れないが、率先してバブル潰しに権力を使って加担してしまった。その後も不況対策を口実にあちらこちらに権限を延ばし、天下りのやり放題。それもこれも日本人の誇りだった「恥を知る」気持ちが忘れられたからだろう。 
 
 さてぼやいていても始まらない。来年は失われた20年を反面教師として今度は不動産と株式市場の活性化を計らねばなるまい。方法はいくつもある。まず住宅だがいまや子供も居なくなって空き部屋だらけの二階家に住むジーサン、バーサンたちがマンションなどに住み替える時には一切税金は取らない、またその家を買って入る子育て家庭にも不動産に関わる税金を免除すれば、不動産市場は一気に元気になるし、移動につれて消費も増えるし消費税で国も稼げる。一石三鳥の効果があるのではないだろうか。勿論国には一銭も負担してもらわずに住む。 
 株式市場には「1000兆円市場を目指す」という大命題を与え、外国企業の誘致など制度、税制の大改革をやればいい。沖縄を金融特区にすれば沖縄も基地、観光、金融で潤うのではないか。 
 
 一時は世界の約4割の時価総額を誇っていた日本も今や10%そこそこ。アメリカがこの20年で時価総額を3倍にしているのだから、アメリカのいいところは見習って何としてでも資産市場を活性化することだ。1000兆円はたしかに夢に近いが、夢が無いといわれている日本にとって、誰もがもっと幸せになれる資産市場の活性化をぜひやりたいし、これを来年のテーマとして精一杯孫の時代のためにも叫んでいこう。「為せば成る」というではないか。