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三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2009年11月12日
三原 淳雄

国とは何だろう
 

 森繁さんが亡くなった。彼も満州からの引揚者である。悲惨な体験をしたためしばらくは満州を訪ねる気にもなれなかったとか。その森繁さんも亡くなったいま、愛国心とは何だろうと、改めて昔を振り返りながら考えてみた。10歳の時に命からがらやっとたどり着き引き揚げ船の待つコロ島で、その引き揚げ船の船尾に翻っていた日章旗をみて、これで国へ帰れると子供心に帰る国のあるありがたさを感じたものだ。ところが恋焦がれて帰ってきたはずの日本がいまはどうもおかしい。 
 もし敗戦時の日本がナチスのような政府だったりソ連に占領されていたりしていたら、あのまま異国の中国から帰れなかったかもしれない。あのころのユダヤ人の多くは逃げ帰れる国もなく、多くは収容所に送られ悲惨な目にあったのだが、国はあるのが当たり前としか考えていないこの国では、その種の議論が欠けている様に思えてならないのである。 
 マスコミは競って国の悪口を書き、多少の格差があればこれも国が悪いとなる。そんなエデンの園のようなバラ色の国があるならぜひ紹介して欲しいと思うのだが、小さなことを大きく報道しては、それもこれも全て国が悪いとなる。国の悪口を書くならきちんと比較する対象を挙げて、文句があるならきちんと整理して、どこがおかしいと言うべきと思うのだが、何時になってもナイーブで口当たりのいい感情的な悪口を言うばかり。いっそ風呂やの看板のように「湯ばかり」ならまだいいのだが、それを正義と勘違いしているから始末が悪い。 
 悪口ばかり並べる前にいちど日本の世界における地位の低下ぶりを謙虚に調べてみたらいい。50年前の日本のGDPは10兆円ちょっと、株式の時価総額もまだゴミみたいなもので1兆円程度、もしあの時に資本の自由化を進めていたら、日本企業の多くは外資系になっていただろう。そこから全員が頑張ったおかげで1989年にはGDPは約500兆円、株式の時価総額は600兆円と、たった30年で世界に冠たる凄い国になったのだが、それでも日本の悪口は止まるどころか、国益を考えぬ悪口ばかりとなった。30年で600倍になった株式市場を感謝もせずに潰せばツケは回ってくる。 
 バブルといえども富は富、どう有効に使うかを本来は考えなければいけない時に、あろうことか持つものと持たざるものの格差が広がった。だからバブルは潰せの大合唱となり、アッと言う間に株式の時価総額は半分以下に落ち込んでしまい、地価もその後は下がりっぱなし。資本主義では資金と土地が無ければ始まらない。だから頑張る人が資金を集め土地を買ったり人を雇ったり出来る。当然経済が大きくなれば株も土地も価値を増す。成長する経済では当たり前の話なのだが、なぜか日本が嫌いな連中にはそうは見えないらしい。 
 そろそろ日本から出て行ってくれないかなー。脱税した税理士などちゃっかり国を利用して儲け、うまく国外に逃げているではないか。 
 
何様のつもり 
 
 政権交代で高揚している民主党は予算の見直しを掲げて仕分けチームを作り、その様子を公開しているが初めから官僚は悪、その官僚を追い詰めるのが役目と勘違いしている仕分け人がやたら目に付く。ワイドショウではないのだから、初めから廃止ありきでは官僚もたまったものではあるまい。タレントあがりの女性議員などはまるで人民裁判の裁判官気取りで、年配の女性官僚に失礼な態度でものを言っていたが、あんたはもともと外国の人のはず。好きで日本に帰化し国会議員になったのなら、日本には敬老の念や謙譲の美徳など素晴らしい文化と言葉があることぐらいは学んでおくことだ。 
 だいたいたかだか1000億円単位の仕分け作業を公開にする意味がよく判らん。こんな人民裁判みたいなことをやっていると、かつての社会主義国のように人民裁判が花盛りになり、異議すら唱えられなくなるのではないか。政治とは国家百年の大計を国民に示し、信認を得るのが本筋だろう。 
 仕分け人も仕分け人でここを先途と言い募るばかりで、自分のPRの場と勘違いしている輩も目に付く。大体民主党のいうなんとかチームとやらは、先のJALもそうだがもともといい加減な奴やお仲間ばかりだから、結局何もやってないと同じにしかならないのではないか。肝心な法人税はマイナスというのに、こんな人民裁判みたいなお祭りで、目先の辻褄など合わせるだけでこの深刻な不況を.乗り切れるはずもあるまい。 
 景気に左右される法人税に代わる税源をどう確保するのか、ここをきちんと議論するのがいまの喫緊の課題なのだが、国や前政権の悪口など言い募って予算を削ればいいみたいな目先的なことばかり。おまけに役人を目の敵にしているのでは国民の国に対する信頼はますます下がるだろう。 
 国を悪し様に罵り役人がそんなに嫌いなら日本から出て行ったらいい。日本以上にいい国などどこにもないぞ。出て行かないのなら悪口を言うことは止めて、少しでも自分は国の役に立っているかぐらいは考えてみることだ。出て行く度胸もないのならいい国に変えることが本来国民のやることだろう。何も考えていない輩ほど臆面も無く悪口をいうものと昔から相場は決まっているが、恥という言葉を知らないのだろう。 
 恥欠く、義理欠く、人情欠くなんて事が当たり前になったらこの国もおしまいだ。