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キャピタル・パートナーズ証券
三原淳雄はキャピタルパートナーズ証券の顧問を務めています。
 

2009年07月03日
三原 淳雄

パラダイムの変化
 

 ひところ新たなIT技術が世界を変える、大きなパラダイムのシフトが起きると、学者たちがパラダイムという言葉がしきりに使っていたことがある。この変化は同時にオールドエコノミーからニューエコノミーへと劇的な変化をもたらし、情報の変化によって世界は大きく変わるとされていたが、ITバブルと共にこの連中も消えてしまったが、今回は劇的に世界を変える本当の大パラダイムシフトが始まった。 
 人間は惰性の産物なので、どうしても過去の常識にとらわれ拘る。とくに日本の場合は戦後の発展が凄まじかっただけに、よき時代の思い出をいつまでも持ち続けているため、厳しい現状分析や将来見通しが悲観的であればあるほど目を背けがちとなる。 
 しかしいま起きつつあるパラダイムの変化は「起きて欲しくないことは起きない」と決めて、ただやり過ごせるような規模ではない。好むと好まざるとにかかわらず、世界中が厭応なしに巻き込まれていくだろう。 
 そしてそれは日本にとって楽観出来るものではない。年金や医療、福祉、雇用など先行きが暗い話は山ほどあるが、たとえ先行きがどんなに暗かろうとも、そうした未来は確実にやってくる。だとすれば目を背けるのではなく、その姿を出来る限り知り尽くして、その理解のうえで万全の対策を取っておく必要があるし、傍観しているだけよりは遥かにましな未来を迎えられるだろう。 
 世界経済の枠組みが大きく変わるため、何れ再び「オールド エコノミー」や「ニューエコノミー」という言葉が流行るのではないだろうか。一寸考えてみるだけでも現在起きている変化が新しい経済をもたらすことが見えてくる。オールドエコノミー、つまりこれまでの世界経済は\菴聞饕羶粥´▲蓮璽侫哀蹇璽丱覯宗´資源浪費 ご超軽視 ゥ妊薀奪ス指向だったが、これらが大きく引っくり返っていくだろう。 
 新しい経済は .侫襯哀蹇璽丱覯宗´⊃袈醜颪悗離轡侫函´資源尊重 ご超重視 ツ祺然焚讐誕といった具合に、旧来の経済の常識を180度変えてくる可能性が高い、日本にとって旧来の産業のあり方を大きく変えなければ、国家存亡の淵に立ちかねない状況となってきた。 
 
3つのI 
 
 既に株式市場では電池メーカーが人気を集めるなど、次世代への物色が始まっているが、パラダイムの変化はとくに日本にとって大きな影響が出てくる。 
 自動車がモーターで動くようになれば、ガソリンエンジンがらみの部品はたちまち不用になるものが出てくるし、熱を出さないモーターなら耐熱性の鋼板も不要となり、プラスチックで充分となるので、鉄鋼などにも大きな影響が出る。資源の乏しい日本は原油20兆円強、食糧を6兆円輸入しているが、その代金として自動車で18兆円、電子部品で5兆円、鋼材で4兆円を稼ぐことで賄ってきた。その輸出環境が大きく変わってくるから大変である。 
 本来であれば政治がきちんと政策を作り、官僚が国益を考えて資源の配分を行うべきだが、政治は脳軟化症を起こしているし、官僚もバッシングにさらされ自信喪失気味では、国民ひとりひとりが来るべき未来に備えるしかない。 
 それには情報をきちんと整理し、自分なり自社のためにどれが役立つかを読み、そしてインスピレーションとイマジネーションを各自が働かせて乗り切るしか方法はない。昔はあれほど頼りにしていたお上が、何ともみすぼらしくなってしまったのだから、自分で切り抜けるしかないではないか。 
 日本の企業のなかにも未来への備えを必至で模索している会社なら、インスピレーションとイマジネーションを働かせて、思わぬイノベーションに結びつけてくる可能性もある。ひょっとしたら伝統的な古い企業が、あっと驚く変身をするかも知れない。それが何かはいまはまだ不明だが、アンテナを高くしてインスピレーションを働かせることだ。 
 それにはまず世間を覆っている虚脱感や悲観論を自力で排するしかあるまい。 
 視点を変えれば視界が拓けてくるものなのである。インスピレーションとイマジネーション、そしてイノベーションがパラダイムの変化を乗り切るキィワードだろう。