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プロフィール
三原淳雄
 

2009年04月10日
三原 淳雄

カネ持ちにカネを使わせよう
 

 「株屋は信用出来ない。株をやっていると田舎では胡散臭く思われる」発言で、いささかがっかりさせられた麻生首相だが、ロンドンG20以降の麻生さんはかなり見直してもよさそうだと思い始めた。 
 カネと選挙の心配がないためか、彼の自由奔放な発言は面白くて好きだが、これまではやや浮世離れでおタク的だった。 
 しかし今回の補正予算に対する彼の考え方は流石と思わせられることが多い。 
 まず贈与税に触れたことである。高齢化が進んでいるためいま親が長生きをする。そのためいざ相続となると子も老いて、80歳を超えたジーさんが60歳超えの子供に資産が相続されるケースが増えている。いわゆる老々介護に老々相続である。 
 散々親の面倒をみた挙句疲れ果てて、いざ相続したら税金の心配もあるだろうが、自分の老後が気になって使うどころではあるまい。 
 だから生前贈与でどうだと麻生さんは言うのだが、そこでまた出て来たのが厄介な小さな正論である。「金持ちの子孫だけがいい目を見るのは怪しからん。金持ち優遇ではないか」といつもの横槍が与党内からも入り、ましてやマスコミは反対一色。結局住宅に限って500万円ということになりそうだが、そうでなくても700万戸も空家が日本中にあるうえに少子化のご時世、マスコミが騒ぐほどには効果は出てこないだろう。 
 一人っ子と一人っ子が一緒になったら「どちらの家を売る?」となるのは目に見えているのに、まだ住宅にこだわるのは余りにも近視眼に過ぎる。2050年には日本人は一億人を切るのだから、もっと長い目で政策を考えるべきだろう。 
 相続税の軽減と聞くとすぐ目を三角にして「金持ち優遇反対」となるが、現行税制では1千万円X相続人数+5千万円もあるのだから、相続税を払う必要のある人はそんなに多くない。むしろ祖父母から孫へと親を飛ばして贈与する方が経済的な効果は大きいはずである。親にしても子供に対して生前贈与されたカネがあれば、当面の学費の心配は少なくなるのでむしろジーさんバーさんから孫にカネが行くのは好ましいだろう。 
 現行では年間110万円までは無税だが贈与税の最高税率は50%だから、わざわざ生前贈与するより当然相続するまで待った方が得となるケースも多い。 
 老々相続で使われないカネが老人に渡るぐらいなら孫へ飛ばして親を楽にする方がよほど景気には効果が出るはず。 
 頭から金持ち優遇と騒ぐ前に頭を冷やして国家経済のために最も効果的な政策であることに気付くだろう。いまカネが最も動きそうなのは株式の贈与である。十歳未満の孫になら500万円ぐらいの無税枠を作って、その代わり成年になるまでは売らない約束で株を贈与すればいい。 
 いま不調で喘いでいる株式市場から贈与によって株が吸い上げられれば、株価も上昇し易くなるし株価が上がれば消費も活性化する。 
 消費税も増えるし資本劣化で悩んでいる金融機関にとっても資本が強化されるから、リスクをとって貸出しも増やせるだろう。 
 損して得をとれではないが、一見金持ちが得で貧乏人が損みたいに見えるだろうが、そんなことはない。株が上がれば年金基金だって潤うので年金不安も解消するし、消費の活性化で雇用も増える。 
 政府による株買上げより余程は効き目はあることを忘れないことだ。横並びと小さな正論にこだわって国を貧しくしたら何もならないではないか。“地獄への道は小さな正論という石が敷き詰められている”と言うが、負け犬の遠吠え的な小さな正論はもう止めにしようではないか。