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プロフィール
三原淳雄
 

2008年09月24日
三原 淳雄

TAKE ADVANTAGE
 

 「人は社会によって生かされている」のだが、なかでもこの言葉が最もあてはまるのが金融の世界だろう。真偽取り混ぜ様々な情報が飛び交うなかで、その真偽を確かめるのは容易なことではない。様々な分野に様々な人脈を築いていなければ、とても自分だけではその情報の裏など取れるものではない。 
 その金融の世界がいま大変な局面を迎えている。もう既に首が飛んだ人もいるだろうし、これから飛ぶかも知れない人もいるだろう。そんな時に頼りになるのは人脈である。ゼニカネだけでつながっていた関係などもろいもので、こんな時だからこそ真の友情や人情がハッキリしてくる。 
 カネの世界の基本は信用に尽きる。いま世界中がクレジット クランチで喘いでいるが、これも日本語では信用収縮、つまり相手が安心出来なくなり誰も金をだしたがらないことから起きる。 
 いい時に驕り高ぶっていると、こんな時にきっちりツケが回ってくる。いま米議会で金融の救済策が激論されているが、好調時に高額なボーナスを取りまくったツケが回って、そのために審議が難航しているが、これは自らの不徳が招いたと言えなくもない。 
 子供のころ日本が戦争に負けて、敵地となった満州に取り残されたが、日頃中国人に優しく接して慕われていた日本人は、匿われたり食べ物を貰ったりとちゃんと面倒を見てくれ生命拾いした人も多い。一方で威張りまくってそこいら中で中国人を殴ったり蹴ったりしていた日本人は、いつの間にかどこかへ連れ去られて帰ってこなかった。 
 これも人脈が生命を救うという好例である。これから世界の金融界でも生命は別として、如何に人脈が大切かという例を山ほど見ることになるだろう。 
 さて、例になく日本の金融界が思い切った決断をし始めた。三菱UFJはモルガンスタンレーへ巨額な出資を決めたようだし、野村證券もリーマンのアジア・欧州のユニットを買収するようだ。かねがねハゲタカ不快論や脅威論ばかり唱え、自分では行動しない日本の国民性にうんざりしていたが、これは久しぶりに胸のすく思いのニュースである。 
 世の中にはリスクはつきもの、そのリスクに挑むからこそリターンがある。 
 案の定日本の一部では「人材に逃げられるのでは」とか、いつもながらの懐疑論が出ているようだが、逃げられるのが心配なら逃げられないようにすればいい。 
 それにはきっちりとした人脈を築き上げればすむ問題である。 
 そのためには外国人スタッフに溶け込める日本人スタッフを長期にわたって派遣することだ。これまでの日本の金融機関の外国政策を見ていると、日本人スタッフの交代が早過ぎる。真の友情、人脈など2〜3年の駐在で作れる訳もない。「肝胆相照らす」仲になるまでは最低でも5〜6年はかかる。 
 レストランやバーだけの付き合いで永遠の人脈など出来るわけもない。 
 家族ぐるみで呼んだり呼ばれたりしながら付き合ってこそ、相手の全てを知ることが出来るしこちらも知って貰える。 
 家が狭いから、汚いからと言い訳するのが人を呼ばない日本人の言い訳のようだが、あのノーベル賞の野依教授は「それは家が狭いのではない、日本人の心が狭いからだ」と喝破されていた。見栄など無用、要は真心なのだ。 
 金融は情報が生命、その情報のカギは人脈なのだから、このまたとない機会を活用し得難い人脈を広げることが出来れば、日本の将来への布石も出来ると大いに期待している。 
「TAKE ADVANTAGE」とはこういうことなのである。