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プロフィール
三原淳雄
 

2008年07月07日
三原 淳雄

インターコネクティッド
 

 国際電話がまだ申し込みで、わざわざ交換手を呼び出してつないで貰う。忙しい時にはいったん受話器を置いてつながるのを待つという不便な時代があった。そのころNYで日本の証券会社の駐在員として働いていたのだが、不便という点では誰もが同じ、そのため日本株の状況などは現地の顧客が詳しく知っているわけでもなく、さや取り業務はリスクも考慮して比較的大きなスプレッドで商売することが出来た。つまり不便な子が故に利幅も大きかったし、オフィスを出てしまえば出先まで日本からの電話が追っかけてくることもなかった。通話料もべらぼうに高かったので主な連絡はテレックス(もうこれも死語か)で、緊急時だけ電話が用いられた。それがダイヤル即時通話になり、ファクスが導入されるようになると、確かに便利にはなったが相手も同じ。東京市場の状況は相手にも筒抜けだから競争も激しくなり儲けも薄くなった。おまけに出先まで電話で追っかけられるので、不便な時代が懐かしくなったものだ。 
 この時代がいわるゆるインターナショナルを分ければ国(ナショナル)のなか(インター)でことが収まってた時代である。 
 それがIT技術の発達でグローバルな時代となり、情報やマネーはもちろんモノまで国境や時差を飛び越える時代となった。 
 その好例がアメリカの住宅バブルだろう。 
 1980年代のアメリカの住宅バブルの崩壊は結局公的資金まで投入する騒ぎになったのだが、日本など外国にまで及ぶことはなかった。つまり対岸の火事で貰い火とか飛び火にはいたらなかったのだが、今回のサブプライムローンの問題は、一瞬にして世界に広がったし、新興国の台頭による資源不足の影響も、地球温暖化の問題も世界中で共有する課題となる時代になった。 
 G8が主体のサミットで片付く問題ではなくなったのである。 
 インターナショナルからグローバルへ、そしていまや世界がからみ合ってしまったと考えるべきだろう。 
 国や人種の違いは厳然として存在するが、いま話題の3つのF(燃料、食糧、金融)は見えないところでしっかりとからみ合っているのである。 
 これまで数々の試練は、それこそ先進国が協力することで乗り切ってきたが、もはや先進国という名前すら憚れるほど、世界の地図は変わってきたのは何故なのだろうと、それを考えるのがサミットの役目になったのではないだろうか。G8のメンバーではないが、これからの世界に大きな影響力を持つかつての後進国でいまや資源リッチ、文字通り本当のリッチ(産油国など)の協力なしに、いま世界が直面する問題は解決できないのは確かである。スーパーのナイロン袋を廃止したぐらいではどうにもなる問題ではない。 
 ディズニーランドの催し物のひとつ「スモールワールド」(世界はひとつ)のようにボートがぐるぐる回ると世界がひとつ、つまりボートを動かす水が回るような世界に変わったのだろう。 
 だからといって悲観しているわけではない。「窮すれば通ず」と言われるように、人類は苦難に直面する度に知恵を出して乗り切ってきた。一時に誰もが無理だと思った自動車の排気ガス(エミッション コントロール)も乗り切ったし、夢としか思えなかった一人一台のコンピューターの時代もあっと言う間に現実のものとなったのが好例である。 
 一見絶望的に見える時の方が、考えようではかえって希望が持てる。 
 技術改新(イノベーション)は日本の得意技である。インターコネクテッドの時代をイノベーションで乗り切ることに注力することで、無為無策の現政府にとっては失地挽回の大きなチャンスにもなるし後世に名も残せるだろう。 
 「物価? 上がっても仕方ないでしょ」 
 「まあ世界のトップで話し合って決まるのではないですか。ふっふっふ」なんて言っている場合ではない。ここはしっかりイニシアティブを発揮する日本の絶好の出番なのである。 
 イナンターコネクテッド、イノベーション、そしてイニシアティブ(主導権)。この3つのI。これをうまく組み合わすことが出来れば、再び「日の昇る国」に変われるだろう。 
 要はリーダーシップである。