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プロフィール
三原淳雄
 

2008年03月27日
三原 淳雄

災難を未然に防ぐ
 

 座右の銘というつもりはないが、好きな言葉のひとつに「災難を未然に防いだ人は英雄になれない」がある。災難が起きてからその処理に当り、その功績を認められて英雄となった人は沢山いるが、本来国民の生命と財産を守るべき立場にいる人の責任は、避けられる災難だったら未然に防ぐことをまず考えるのが筋。小泉・竹中コンビによる金融システムの危機、不良債権の処理が最近では構造改革の例として取り上げられることが多いがそれは結果の話、本来は宮沢政権時代にことの重大さに気付きながら、その処理を先送りにし見て見ぬふりを決め込んだ政治や行政の責任の方が、処理に当った功よりももっと重いはずである。「バブルだから潰して当然」「それで損をしても自業自得」「銀行員の月給は高過ぎる」といった小さな正義がまかり通る風潮のなかでは、いまが公的資金投入のチャンス、怪我は小さいうちに処理しようと考えている人も、とても言い出せなかったのだろう。宮沢首相も役人の反対に会って市場を1〜2日閉鎖しようとしたモラトリアル案を引っ込めざるを得なかった。 
 歴史にIFはつきものだが、もし彼があの時蛮勇を振るって断行していたら、世論の袋叩きに会って国賊呼ばわれされ、内閣は倒れたかも知れないが、少なくともその後の失われた十年は大いに短縮されていたに違いない。 
 しかし残念ながら秀才過ぎるほどの秀才にとって、それはプライドが大いに傷つくことであり耐えられなかった。いわゆる秀才の限界である。 
 いまの日本も状況は異なるが、リーダーもしくはブレーンたちの決断待ちという点では同じだろう。世界は既に大きく変わっているなかで、誰が考えても34年も続けてきた暫定税率を、そのまま10年も延長するなんて話が通るわけがない。それを無理に無理を重ねて通したとしても、後世で物笑いのタネになるだけだろう。 
 34年前の日本といまとでは、国内も大きく変わっているが、その変わりようが足りない。変わっていないからこそ国際的な地位は落ち続けているのである。 
 心ある政治家や役人は絶対気がついているはずなのに、誰もそれを言い出せないとしたら、これこそ反国家的な行為であり不作為の罪として後世に悔いを残す人生になるはずである。 
 戦時中は挺身という言葉がよく使われた。 
 これは身を以って国を守るという意味だが、世のため、人のため我が身を捨ててことに当ってこそ、災難を未然に防げるのである。それが選良や(もう死語か)官僚の役目ではなかったのか。日本語がおかしくなって久しいが、もはや死語となった感のあるこうした言葉を、子供たちの教育を云々する前に、しっかり噛みしめてやるべきことをきちんと身を捨ててやる気概を政治家や官僚にいまいちど思い起こして貰いたい。いま日本の喫緊の課題は増える老人、劣化する介護の早急な改善だろう。楢山節考(深沢七郎著)が現実になりはじめているから、子供たちが自暴自棄な行動に走るのである。道路はもういい。もっと現実を直視することだ。