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プロフィール
三原淳雄
 

2008年03月20日
三原 淳雄

反省そして遅すぎた自戒
 

 あのウォーレン バフェット氏が、ビル ゲイツ マイクロソフト会長を抜いて、再び世界一の富豪となった。株式投資を20代でスタートし、株式投資だけで登りつめたのだから、同じころ20歳代で証券会社の社員だった身としては、同じような環境でも長い年月を経ると、こうも違うものかと恥じ入ることしきりである。 
 振り返ればあのころの日経平均は300円台、NYダウも500ドル前後だったのだから、株式の持つ本来の意味と市場の効用をしっかり理解した彼と、「株をやる」としてしか考えなかった浅薄な理解力しかなかった我が身とではいまや天と地ほどの差になってしまった。 
 このことに関してはまだ続きがある。 
 彼が影響を受けた本はグレアム・ドット著の「証券分析」と「賢明なる投資家」だが、何と同じ本を70年代にシカゴのノースウェスタン大のビジネススクールで、私も学んでいるのである。ところが既に日本の証券界での10年のキャリアが災いして、こんなこと知ってらぁとさして感銘も受けなかった。 
 これが第二に失敗である。そのころバフェット氏もまだ30代だし、そこそこ成果は挙げていただろうが、アメリカでもまだ無名の存在だった。 
 何故こんな差が出たのだろうか。最近やっと気がついた。あるTV局に電話で出演した時のこと。折からの円の急騰で大騒ぎになっていたこともあって、多分相手はどこかの大学の先生だったが(敢えて名を伏す)「ズバリどこまで円は上がりますか」と聞いてきた。世界中の金融市場が大荒れしている折でもあり、「そんなこと軽々に答えられない。神様しか知らないのではないか」と答えたところ「経済評論家なら判っているはずでしょう」ときた。おまけに「誰それさんは90円になると言ってますよ」と続けてきたので、そこで遂に切れた。 
「仮に90円になると言ったとしよう。そこで私を信じる行動を起こして間違えた投資家に対しての責任は誰がとるのか」「いまはちょっとしたことで流れが大きく変わる恐怖が支配している時なのに、軽々に言えるわけはないだろう」と語気を荒げたところで番組は終わった。 
 そこで改めて思い当たったのだが、若いころの自分も誰か人の言うことを、さして深くも考えずに信用して自ら考えることを止め、右往左往していたのではなかったか。 
 バフェット氏の言う「ミスター マーケットに振り回されるな」との名言はこのことなのである。 
 彼の言う「ミスター マーケット」とはその時の市場のことであり、上がれば「買え、買え」と言ってくるし、下がれば「大変だ、大変だ、すぐ売れ」と言ってくる。 
 「そんなミスターマーケットに振り回されているとカネはいくらあっても足りないだろう。」これこそ彼の至言である。 
 市場という言葉をよく理解していた彼と、ミスター マーケットを市場と考えていた当方との差が年月を経るとかくも違ってくるのである。そう言えば日本ではしばしば「損をさせられた」と言っている投資家も多いが、だれかの御託宣を鵜呑みにして損をしているのだろう。「人のふりみて我が身を正せ」 
 昔の人はいいことを言うものだ。