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プロフィール
三原淳雄
 

2007年08月28日
三原 淳雄

本当の金持ちとは
 

 この度「金持ち苛めは国を滅ぼす」(講談社新書)というタイトルの本を上梓した。 
 かなり挑戦的なタイトルで顰蹙は覚悟のうえだが、いまの世界の変化を身近かに感じるにつれ、日本はどこか何か進路を間違えている感が強まってきたからである。 
 ニートやフリーター、ワーキングプアそして格差の広がりなど、たしかに日本には問題は多い。しかしこうした議論はどうしても国内重視となりがちであり、最も大きな変化である世界の動きと切り離されて議論されているため、外国の目には日本自体がひきこもりモード化しているように見えているのではないだろうか。 
 「金持ち苛め・・・」の金持ちの意味は、ただじっと金の上に座っている金持ちのことではない。持てる資金でリスクをとして事業を興し雇用を生み、そして利益を出して税金を正しく支払っている金持ちや、そうした志の高い事業家を応援してくれる金持ちのことである。サッチャー首相がかつていみじくも喝破したように「金持ちを潰したからとて貧乏人が金持ちになるわけではない」という言葉はけだし名言であり、このところ閉塞感が強まりつつある日本にも、本来の金持ち、昔で言えば長者みたいな志の高い金持ちにしっかりカネを使って貰わなければ、また使って貰えば日本の未来は開けると信じているからである。いよいよ秋の国会も始める。 
 参議院選での民主党の躍進ぶりから発すると、たちまち槍玉に上がりそうなのが今年末で期限切れとなる現行の証券税制だろう。 
 いまの税率は軽減税率とされているために、軽減を廃止し税率を20%に戻せと言うことにならなければいいのだが、多分その時に出て来るのが「金持ち優遇は怪しからん」という何だか金持ち苛めが正義という風潮ではないだろうか。 

日本だけが何故大きく下げたのか

 本来株式市場は国民共有の大切な財産であり、市場のサイズの大小は国力の象徴でもあるし、また年金などを通じて国民全体にも大きな影響がある。ところがまことに残念なことに「持ってない人には株が上がろうが下がろうが関係ない」という認識の方が強い。 
 村上ファンドやスチールパートナーなど、派手な動きが正しい理解を妨げているのかも知れないが、これからの日本の進むべき道は技術力を活かす技術立国、また豊富な個人金融資産を増やしていく資産立国が大きな選択肢となるし、人口が減少、少子高齢化という大きな変化を乗り切るには、この選択しかないはずである。 
 かつての高度成長期なら、横並びで頑張っていればそれなりに所得も資産も増えていった。しかし最早やそんな時代ではなくなったのはご案内の通りである。 
 折りしもサブプライムローンという、アメリカの低所得層向けのローンの破綻が世界を大きく揺るがせているが、なかでも東証の値下がりは大きかった。なんと新高値をつけたばかりで、かつ問題の震源地のNY市場がたったの8%しか下げなかったのに対し、上がってもいなかった日本が16%もの下げとなったのは何故なのだろうか、それは日本ではリスクをとって社会に貢献しようと考える金持ちがいないからである。使い道も知らずに小金を貯めるばかりでは国が滅びるのではないか。 そこを問いたかったのが敢えて流れに棹をさすことを覚悟で出版したのが本意である。