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プロフィール
三原淳雄
 

2007年08月03日
三原 淳雄

空中戦と地上戦
 

 世界経済がフラット化し、マネーや情報がフリーにあちらこちらに出没出来る時代になると、それに伴って高度な金融技術を応用した金融商品が続々と出て来る。 
 50年前なら資産三分法と称して、不動産、預金、株を三分の一づつ分散していれば、それなりの資産運用が出来たし、逆に言えばそれしか出来ない時代だった。 
 市場もまだ実体経済の動きを素直に反映していたので、実体経済の動きを見ながら分散のウェイトを考えることも出来た。 
 ところがいまやカネの世界は時として実体経済とは全く異なる動きを見せることもある。 
 それどころかカネの動きによっては実体経済に影響が出て来る時代となった。 
 いま話題のサブプライムローンなど将に好例だろう。リスクの高いローンだけに貸し出し銀行は証券化して転売する。それを買った方も更にCDO(担保付き債権証書とでも訳すのだろうが)のような新たな技術で転売していく、かくて実体経済とは関係のない大きな金融市場が出来上がる。(ことはもっと複雑である) 
 つまり信用というリスクをトランプのババ抜きみたいに次から次へと、場合によってはレバレッジを用いてふくらませながら、効率的な運用を計る仕組みだが、どこかでババが行き止ると、様相は一変してくる。 
 信用が低下したり(クレジット リスク)すると、たちまち値下がりが始まるので逃げ出す連中が増えれば債券市場は下がるし金利は上がる。損失を出さないためには利益が出ている他の株なり土地なり売る動きも出る。そうなってくると尾っぽが胴体を握り回す結果となり、実体経済に思いもよらぬ結果をもたらす可能性もある。 
 一般の投資家から見れば、まるではるか高空での空中戦だったとしか思えなかったことが、突然地上に降りて来て地上戦が始まるみたいなものだろう。 
 バーチャルとリアルの関係に似ていなくもない。バーチャルは所詮バーチャルであり、インターネットでもショッピングなら必ずリアルな商品がベースとなっているように、どこかでつながっている。 
 一見無関係な空中戦だっていつかは燃料切れを起こす。これまではその空中戦で生じたマネーの過剰流動性などによって有卦に入っていた業界(ウォール街のブローカーなど)はこれまでのようにはいかなくなるだろうが、そんなことと全く関係のないリアルで堅実に経営している企業にとっては、さして影響はないのではないか。むしろ地上戦に巻き込まれて大きく株価を下げるような場面では、リアルな経済にしっかり足を踏まえている企業は格好の投資チャンスになるだろう。もっともすばしこい投資家なら、既に百も承知だろうがまずは老婆心まで。