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プロフィール
三原淳雄
 

2007年01月31日
三原 淳雄

円安でいいのか
 

 たかだか納豆ごときで大騒ぎしている間にも円安は進み、かつて世界最強とすら言われた円の価値が急減している。 
 戦前の満州に生まれ敗戦をかの地で経験しているためか、自国の通貨が安くなるとロクなことはないと肌身で知っているつもりなのだが、日本では何故か円安を未だに歓迎するムードが強い。 
 円高になると株価が下がるのがその好例だろう。おかしな国である。 
 その満州時代だが、時は戦争の真っ只中とあって流れてくるニュースはいつも日本が勝っていた。つまり大本営発表だが、一方で駄菓子屋に出入りしている身としては、飴玉や饅頭の値段が毎日高くなっていく。 
 子供だから満人(今の中国人)の店主に何だか騙されているように感じたものだが、敗戦の日から満州国通貨はゼロ、つまり全く通用しなくなったという経験をしている。 
 大本営発表を信じていてえらい目にあったのだが、店主はちゃんと日本の敗戦を見越していたことになる。いまではあの店主たちは受け取った満州国通貨をどうヘッジしていたのだろうかと、そっちの方が気になるし、大本営発表ほど怪しいものはないのもよく判っている。 
 加えて1ドル360円時代に海外で駐在員だったこともあり、その後の円高で立場がみるみる強くなったという覚えもある。 
 そのため当然いまの円安にはかなり危惧を持っているのだが、国会は選挙目当てでお互いの言葉の揚げ足取りに熱中しているし、国民は相変わらず馬鹿なテレビ番組のことにしか関心がない。何とも呆れた極楽トンボぶりである。 
 すぐ隣りには日に日に力をつけてきつつある中国経済もあるし、いまやITでは世界を制しつつあるインドの教育の高まりもある。 
 何時の間にやらアジア諸国の市場の時価総額合計は日本のそれを上回っているし、それぞれの通貨も力をつけつつあるにもかかわらず、まだ日本はアジアの盟主だなんて考えているのではないのだろうか。 
 資源のほとんどを海外に頼り、食料すら自給自足できない国の通貨が弱くなれば、納豆などでダイエットしている場合ではないことぐらい見当がつくはず。 
 円安で諸物価値上がりすれば、食うに事欠くようになり、納豆のダイエットに血道をあげていたころが懐かしく想い出されるのではないか。海外旅行など夢のまた夢の時代に逆行するだろう。ハワイはだんだん遠くなる。 
 政府も「美しい国」とか「上げ潮」とか情緒的な言葉ばかり並べるのではなく、本格的に国際競争力に富む国造りに取り組む時ではないのか。そのためには国民一人ひとりの生産性を上げる政策・教育に大胆に取り組む必要があろう。国力の強化は国民を強くするしか方策はないのである。レーガン大統領は「豊かな国民が強いアメリカを作る」とやって見事成功した例もある。世界で毎日死んでいる人の3割は餓死という現実に気付けば、日本の格差など冗談に思えるのではないか。もはや一億総仲良しでやっていけるわけもないことをまず国民に自覚させることだ。