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プロフィール
三原淳雄
 

2006年06月30日
三原 淳雄

いざなぎ論議に騙されるな
 

 サッカーのワールドカップを見ていてつくづく感じたことは、いまも昔もこの国は大本営発表が好きで、おまけにそれを信じては裏切られる国ということである。つまり過去の失敗から何も学んでないということになる。さきの戦争では技術、体力に劣る自国の限界も考えず、緒戦の真珠湾で勝った途端に常勝が当り前となり、それをマスコミが煽るから世論はますます一方に偏り、勝って当り前となる。その世論に異議を唱えようものならたちまち袋叩きにされ、挙句の果ては大衆迎合しか考えていないマスコミからはお呼びがかからなくなる。かくして御用学者や世論迎合型の識者もどきが幅を利かせ、敗色濃くなると精神力で勝つなんてことを口走り、日本は大敗してしまった。 
 今度のワールドカップなどまるで太平洋戦争の時とそっくりではなかったか。練習試合でドイツと引き分けただけでさも決勝リーグ進出は確実と煽り、万にひとつの可能性もないブラジル戦では遂に精神論まで唱える始末。 
 何でもっと冷静に慎重に思慮深く物を考えないのか、不思議な国である。よくぞまあここまで大きくなってこれたものだ。 
 こんなにも自分で考えることを止めてしまった国民相手なら、頭のいい役人や権謀術数に長じた政治家から見れば、手玉にとることなどいとも簡単に出来るだろう。 
 そろそろ出てきた景気論議にも、どうも何か増税のための仕掛けが始まったような気がする。 
 順調にいけばこの11月にでも期間としては戦後最長だった「いざなぎ景気」の57ヶ月を抜く回復となる。 
 新聞や一部エコノミストたちは抜くかどうかの当てっこを始めているが、いったい何を考えているのやら。大体比較すること自体が漫画である。似ても似つかぬことを何故言わぬ。 
 1965〜70年までのいざなぎ時代は一ドル360円、しかも東西冷戦のさなかだし、ベトナム戦争という特需もあった。 
 当時の日本はいまの中国みたいなもので、世界の工場だったのである。そのためこの間のGDPの伸びは実質で70%、名目では何と123%も増えている。 
 売上も月給もどんどん増えたのだから、格差もへったくれもない。一億等しく豊かになれた時代なのである。 
 あれから30年余、日本も世界もその間に大きく変わっていることを忘れてはいないか。 
 02年から始まった回復局面でGDPがどうなっているか考えてからものを言って欲しいのである。約5年間で実質10%、名目ではたったの4%、つまり分配に必要なパイは増えていないのである。 
 少子高齢化がますます進んでいけば、GDPなど当てっこしてもほとんど意味のない時代なのである。必要なことは折角これまで貯めこんだカネにモノを言わせて、金融力や投資力で喰っていける国にすることだろう。福井さんにかまっている場合ではなかろう。 
いっそ全員で福井ごっこでも始める方がまだいい国となれるというものである。