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プロフィール
三原淳雄
 

2006年05月11日
三原 淳雄

裁量行政の復活か?
 

 このところとみに金融庁の姿勢が強硬になってきた。消費者金融のアイフルへの大規模な営業停止に続いて、今度は監査法人大手の中央青山にも長期の営業停止を課すらしい。法に触れる行為が罰せられるのは当然だが、それにしても矢継ぎ早やの強硬な行政の権力の行使ぶりには戸惑いが一方にあるのも事実。これまでなあなあで以心伝心でやっていたことが、ある日突然豹変し有無を言わせず強硬な処置に出てくるのが日本の行政の常だが、一方で散々規制緩和を進めていながら、一方では十手取り縄で御用と突然なるのでは、民間はこれまで同様すべからく事前にご相談しなければならなくなりそうで心配である。ひょっとしたらライブドアのやりたい放題を野放しにし、結局検察に頼らざるを得ず先を越されたから、今度はそうはさせじと急に張り切り始めたとしたら、これっていわゆる裁量行政への逆戻りになりはしないのだろうか。もちろん市場への信頼や透明性を確保するために、不正な会計や違法な利益はとことん追求すべきであることは言うまでもない。 
 カネボウのような悪質な粉飾を許すべきではないし、それに加担した監査法人も同罪であるのは確かだが、一方で企業と監査法人は顧客と取引先の関係があり、顧客である経営者が強引に粉飾を押し付けたケースがカネボウだとすると、経営者のモラルと責任を求めると同時に監査法人の立場の強化なども併せて考えておくべきではなかったのだろうか。 
 中央青山にも立派な志を持った会計士は沢山いるだろうし、関与先の企業の経営者も素晴らしい人の方が多いはず。 
 ある日突然監査法人を変更しなければならなくなったり、中央青山に監査を依頼している企業が色眼鏡などで見られるのではたまったものではあるまい。 
 今更言うまでもないが有価証券報告書と毎期提出させているのだから、まず有価証券報告書の信頼性、透明性を確実なものにし、投資家が安心して株主でいられるようにすることも併せ行なわれるべきだろう。 
 ライブドアのようにただ潰してしまえばいいというものではないはず。日本の行政は一罰百戒が得意なようだが、それでは裁量が強くなるだけ。百罰百戒にする代わりに法やルールを明確化するのがいま当局が行なうべきであり、こんなことばかりがある日突然起きるようだと、世界の投資家から日本の市場全体が見放されはしないかと、副作用の方が心配である。