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プロフィール
三原淳雄
 

2006年02月24日
三原 淳雄

ストック エクスチェンジの意味
 

 ライブドア騒ぎや偽メール、荒川さんの金メダルで世の中すっかりそちらに気が移っているようだが、それはそれ、これはこれでもっと大切なことを忘れているのではないだろうか。それは市場が機能していないことである。 
その昔日米欧の証券市場で働いた経験がある。市場とは、実体経済や社会の姿を反映して値がつく謂わば鏡の役目を持っている。そのためには鏡は何時も透明でなければならないし、ましてや歪みなど許されるはずもない。社会が歪めば歪んだなりに写してこそ市場の役目が果たせる。それが市場の本来のあるべき姿なのであり、だからこそ市場は国民共有の大切な財産でありインフラと呼べるのであるが、欧米ではその考え方がルールとして定着しているのに対し、いまの日本の株式市場はまるで本来の市場のあるべき姿とはかけ離れているように思えてならないのである。 
 その国の国力は市場の規模によって決まるもの、市場のサイズが大きければ大きいほど魅力が増すし、その流動性の豊富さはリスクキャピタルにとって参加し易い場所となる。 
 リスクキャピタルにとって最も大切なことは出口の確保であり、流動性が保証されていれば安心してリスクもとれる。 
 そのためには常に公平な価格が維持されなければならないし、所定の時間には取引が出来るということが大前提であるはず。 
 ところがこの最も大切な二点で日本の株式市場、なかでも東証は大きな欠陥があることが今回のライブドアの馬鹿騒ぎで明らかになってきた。突然取引時間が短縮され、そのために投信の設定、解約、値決めが出来なくなったり、東証が認めていたこれまた馬鹿げた株式分割によって取引単位が急増し、そのためにライブドアは午後二時からしか取引が出来なくなり、東証全体も後場の開始時間を三十分繰り下げたりと、凡そ国民の大切なインフラとは呼べないような無用な対応振りである。英語では証券取引所をストック エクスチェンジというが、東証のいまの姿はまるでトーキョー ストップ エクスチェンジと名前を変えた方がいい。事実イギリスのFT紙などはそう呼んでいるし、友人のもとにはニューヨーク証券取引所から直接「日本は本当に大丈夫か」と問い合わせがあったとか。由々しきことである。 
 最近外国投資家が売り越しになっているようだが、これは日本経済の先行きを懸念しているのではなく、東証そのものに愛想をつかしているのではないだろうか。 
 公共のことをパブリックというが、その最たるものが東証のはずであり、自らの事情で国民、つまりパブリックの利益を大いに損じたのだから、ボヤボヤ手間取っているヒマなどはないはずである。 
公共の敵のことをパブリック エネミーと呼ぶ。いまの東証は将に国民の財産を守るどころか自分たちのミスで損ねる存在になっていることを自覚しているのだろうか。はなはだ疑問である。 取引所の原点は透明なルールに基づいた正確な情報の開示によって、公正な価格の形式を図ることにある。世界の投資家から信頼され安心して投資して貰うにはどうすればよいか。まずそこから謙虚に反省して原点から抜本的な改革を行うべきだろう。 
 傷ついた信用を回復するにはひたむきな努力しかないのである。 
 東証に限らずこれを他山の石として全ての市場関係者の猛省を期待したい。