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プロフィール
三原淳雄
 

2005年07月07日
三原 淳雄

キャリア官僚今昔
 

 その昔官僚は官員さんと呼ばれ、世の中から尊敬もされ一目も二目も置かれていたものだ。それは彼らが天皇から任命され勅任官であり、天皇の官僚としての自覚と責任感を持ち、身を国に捧げ自身の栄達や蓄財は二の次で、国益を何より大切に考えている人たちだったからである。 
 戦後間もなくあの食料難の時に、配給の食糧だけで生活し栄養失調で亡くなった裁判官の話しは、当時の官僚が如何に身ぎれいだったかを象徴している。 
 戦後しばらくはこんな立派な官僚がいたからこそ、日本の奇跡的な復興が可能になったといっていいだろう。1970年初頭にNYに駐在していた時でも、たとえ日本の政治が乱れても日本には優秀な官僚がいるので大丈夫と、何度もアメリカ人に説明したものだ。ところが最近の官僚のあり方は目を覆わんばかりの酷さがある。どこにでも悪い奴はいるが、昔はそれでも高級官僚はきちっとしていたし、身の処し方も潔ぎよかったのだが、いまや彼らが率先して天下りはするは、談合はするは、国益や国民の利益はそっちのけで身の保身、蓄財に狂奔するのが仕事としか思えない惨状である。加えてスキャンダルに対しての処分も身内に甘い、警官が盗撮しても退職金を貰ったりしているのだから、治安も乱れるわけである。無礼な若者に警察がなめられるのも自ら蒔いたタネであろう。  
 なかでもひどいのが経産省のキャリアによる今回の株式投資である。 
 あろうことか競輪の上前をはねたカネを省内にプールし、そのカネで折から経産省で再生が論じられていた「カネボウ」の株を買い、それがバレたらカネを返しておしまい。おまけにマスコミにばれたら、全職員が一年間株式投資を自粛するとか。 
 これでは悪いのは本人でなく、まるで株が悪者になっただけ、株は何も悪いことをしているわけでもないし、株式投資は日本経済の活力を保持する大切なもの。  
 その株式投資を経済を司る経産省がさも罪悪でもあるように禁止するのは如何なものか。 
カネを流用しインサイダーまがいの取引をした本人に全責任があるのであり、株式投資を自粛するというのは本末転倒である。 
 尊敬されるべきキャリアがこんな有様だし、経産省の株への理解もこんなものだとすれば、国民も株式投資とは一日に何回も売買するデイトレードが株だと勘違いするのも致し方ないのかも知れない。 
 この際日本は本当に資本主義国家なのか、市場経済とは何か、市場に参加する資格が自分にあるのか、正邪の区別が自分でできるのかなどなど、国を挙げて総点検すべきかも知れない。本来ならそれには清廉な高級官僚が身をもって示してくれるのがいちばんなのだが、望む術もなさそうである。