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プロフィール
三原淳雄
 

2005年06月27日
三原 淳雄

株主総会雑感
 

 株主総会がたけなわである。経営者と株主とが一堂に会する機会など、そう滅多にあるものではないから、本来株主総会とは企業にとって最も大切なイベントであるべきなのは当り前である。 
 ところがこの株主総会ほど過去に形骸化されたものはない。グループ内での過剰な持合いの結果一般の株主は軽視され、企業にとっては商法で決められてるから仕方なく行うセレモニーでしかなかった。 
 したがって前方には社員株主をずらりと控えさせ、全ての動議には「異議なし」の大合唱で異議を否定し、総会の担当者たちは如何に短い時間で総会を終わらせるかが、腕の見せ所、出世の分かれ道となっていたのである。しかしバブル崩壊、金融システム不安は持合い制度を一変させ、浮動株の増加はライブドアによる敵対的買収騒ぎもあって、総会のあり方を一変させてしまった。 
 「カゴメ」のような昔から株主を大事にしてきた企業は、とうの昔から「株を売らない株主」を育ててきたが、ほとんどの企業はいつ売ってしまうか不安定な株主しか作ってこなかったこともあって、ここにきて大慌てで敵対的買収にどう対応するか、がさながら平家が水鳥の羽音に驚いて逃げたような騒ぎになったのが今回の総会の特徴だろう。 
 第二、第三のライブドアや村上ファンドの出現を怖れるあまり、まだ制度や税制もこれから論議されるというのに、ポイズンビルと呼ばれる自衛策を総会の議題にしている企業の多さがやけに目立った。 
 上場企業とは本来経営者のためにあるのではなく、株主、社員、取引先、地域など全て関わりのある人たちのために存在するのであり、その大切な社会の公器である企業をお預かりして経営するのが経営者の役目のはず。 
 ところが敵対的買収されると自分の首が危なくなる、だからポイズンビルのような兵法で買収から身を守ろうとするのであれば、これは本末転倒である。 
 東京エレクトロンや横河電機はこの提案を総会であえなく否決されてしまったが、これは当然であろう。 
 会社は全て株主のものとする説には異論もあるし、村上ファンドのように目先き的に株価を上げるような増配を要求するやり方も問題はある。 
 しかしこうしたドタバタ騒ぎが起きる主な原因は、株主らしい株主が日本に育っていなかったことである。株とは安く買って高く売るもの、経営者がどんな人で、その企業の将来の成長性がどんなものかなどを考えることなく、とかく目先きで儲ければいいという投資家が多いために、経営者も焦って防衛策を講じている感もある。投資家も自分は株主なのか、それともトレーダーなのか改めて自分のスタンスを考える時だろう。