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プロフィール
三原淳雄
 

2004年09月27日
三原 淳雄

「恒心は何処へいった?」
 

資産家の間で人気の高かったシティバンクのプライベイト バンキング部門が、金融庁の検査で飛んでもない取引きをしていたとして業務停止になった。 
やってはいけないことをやったからというのがその理由なのだが、今回の出来ごとは多くの教訓や示唆に富んでいるのではないだろうか。その昔外資系の証券会社でちょっとだけ働いたことがあるが、その時に最も悩まされたのが日米の商習慣の相違である。 
簡単に荒っぽく言えば「法律に書いてないことはやってよろしい」と考えるアメリカと「書いてあることしかしてはならない」とする日本との違いである。 
彼らにとって法に従うのは当然だが、法に定められていないのならやるのは当たり前なのである。一方日本では法に定められていることしか出来ないので、法に無いことをしようとすれば当局にお伺いを立てなければならず、そこに裁量行政の余地が出てくる。 
今回のシティのケースの詳細は知らないのでどちらがどうとは言えないが、言えることはやはり法の不備・ルールの欠如ではないのだろうか。だからと言って細にわたって法で縛るとマーケットは死んでしまう。 
望ましいのは倫理と常識に照らしたルールを作り、ルールの範囲内では何をしても自由だが明らかなルール違反は厳罰にすることである。 
また投資家なり資産家にもそれなりのリスクに対する責任は持たせるべきであり、損をすれば業者の責任、儲けた時は俺の腕ではいつまでたっても真の資産家は育つまい。 
今回のケースを見ても、日本の金持ちは所詮成金でしかなく、真の資産家にはなっていなかったと思わざるを得ない。口車に乗った方にも責任はあるのが常識だろう(シティのプライベート部門の顧客なら当然億単位の金持ちだったはずである)。 
最近株高のおかげでIPO成金が続々誕生しているが、誰とは言わないが総じて小金持ちの成金ばかりを作っているように思えてならない。社会によってお金持ちになれたのだから、少しは社会のために還元しようと考える真の資産家は、いつになったら日本に出てくるのだろうか。「恒産なくして恒心なし」という言葉はもう死語になったのだろうか。淋しい限りである。