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2003年11月21日
三原 淳雄

 
ミニ宴の後始末の始まり
           行き過ぎはむしろチャンス
 

 株価が上昇し続けている間は気にもならなかった様々な懸念が、株価の頭が重くなり回転商いもうまくいかなくなってくると、懸念はたちまち頭をもたげてくる。上がるから買う、買うから上がる相場に熱狂していた投資家が現実に目覚めはじめるのである。

 買うから上がる、上がるから買うという相場では、株を買うというよりは株価を買う動きが強まり、時として「石が浮かんで木の葉が沈む」ような相場になることが多い。

 今回も小型株の一部や銀行、証券株が思わぬ急騰を演じたが、買いが止まると急落しているのはこうした動きだったのではないだろうか。改めて現実を直視すると懸念材料も結構多い。国会ではイラクや金融システム、道路などなど難問が山積みしているし、海外に目を転じればアメリカの投信のスキャンダルも出ている。

 いずれも目先的には懸念材料であり、買い手を躊躇させるのには充分な材料といえるだろう。そうでなくとも市場のセンチメントはかなり情緒的である。そのため楽観と悲観のブレは時として大きなものになり易い。

 事実今年の年初には超悲観論が日本中を覆っていたのではなかっただろうか。
そのため株価は4月まで下げに下げ、とうとう7,600円すれすれまで下がってしまった。

 その弱気はいまや一転して強気一色となり問題企業が3−5倍にも値上がりする事態となったのだから、如何に相場は情緒的かはよくお判りだろう。その間に問題企業が株価の上昇ほど大きく変わったわけでもないのだから、現実に気付けばたちまち恐ろしくなるのは人情である。こんなときは目先の動きに一喜一憂するのではなく、市場の変化に対して眼光紙背に徹することだ。

 年初の超悲観から楽観に変わったのはそれなりに理由がないわけではない。

 世界的なデフレ懸念が減少し、デフレ対策の結果としてリフレ色が強くなり世界的なカネ余り現象となっているし、経済の実体は日米ともに着実に改善されつつある。このマクロの変化を個別に大騒ぎし過ぎた市場が、いまはやや反省しているのだから、ここからは地に足を着けて改善著しい企業の株の押し目をじっくり狙うのが本筋だろう。市場は上にも下にも行過ぎるもの。いつの時代もその行き過ぎこそがチャンスだと割り切ってみる人が勝つのが市場の鉄則であることを忘れないことだ。