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2003年11月18日
三原 淳雄

 
事前予想通りの選挙、気になる低投票率
 

 今回の選挙はまことに日本的な結果で終わったといえるだろう。世界的な大変化のなかでなかなか変われない日本を憂いつつも、さりとて急激な改革も困る。取り敢えずはいまの与党の掛け声だけの改革に委ねるにしても、さりとて小泉改革路線を丸投げで支持するのも不安が残る。与党に緊張感をもたせるためには民主党にも頑張って貰わねば、といった国民感情がもろに反映された結果となった。

 折りしも国民の生活設計上最も重要な基盤である国や地方の財政、年金及び保険などの社会システムは破綻に瀕しつつあり、改革不可欠であるというコンセンサスは日増しに高くなっている。この民意を受けて全ての候補者が「改革」や「マニフェスト」を口にする騒ぎになったのはご案内の通りであり、日本全体にやっと「改革」の機が熟したことは疑う余地はなくなった。

 しかし、その具体策となるとまだまだ未熟と言わざるを得ない。そもそも「改革」には理念と道筋を示すことが必要なのだが、過去の反省とお詫びがなければ理念も道筋も示せないだろう。国民生活に多大な迷惑をかけている経済の没落、それに伴う財政や年金の破綻は明らかに失政によるものであり、「少子高齢化」社会の到来を知りつつ放置していた不作為の罪も大きい。

 取り敢えず絶対過半数を制した小泉政権の喫緊の課題は道路や郵政といった枝葉の改革ではなく、この日本をどのような形に変えるのかについて理念を揚げ、その方向と道筋を示すことなのである。

 気になる市場の反応だが、選挙がほぼ事前予想に近い形で終わったために、各市場への影響は軽微なものにとどまり、今後は各企業の収益動向や米経済の行方に関心が高まろう。

 ただ今回の選挙の投票率が予想以上に低かったことは、外国勢にとっては驚きであり、中長期的には日本への信頼が揺るぐ可能性が高くなるのではと懸念される。

 誰もが改革の必要性を感じながら、約4割の人たちが投票に行っていないという日本の姿は、投票でしか国は変えられないと信じている外国人の目には極めて奇妙に思えるはずである。一部では格上げの噂も出ていた日本国債も、これではボツワナ並みの扱いが当分続くのかも知れない。幸い個別企業の頑張りで日本経済もやっと明るさが見えてきた。投資家としては頑張る企業を応援することで自らの道を招くことを考えるしかない。