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2003年10月02日
三原 淳雄

 
シナリオ通りの円高
    あわてず個別銘柄の押し目狙いで
 

 ひと波乱あるかと期待された自民党の総裁選も、いざとなったら寝返りや面従腹背、何がなんでも自分の選挙が政策より大事という政治家が輩出し、小泉再選が呆気無く決まってしまった。その後の人事を見ても選挙目当てがみえみえであり、安部幹事長や谷垣財務相、中川経産相などは頷けるものもあるが、その他の閣僚を見ると昔とは異なる派閥人事のように思えてならない。 

 昔は「末は博士か大臣か」と、大臣になることは子供たちの夢だったのだが、こうも軽量な大臣たちをみていると、子供たちの元気まで失ってしまいそうだ。うまく泳げば誰でも大臣になれる内閣に思えて仕方がないのである。

 そんな政治の姿を見れば、本来なら円は売られて然るべきなのだが、反って1ドル110円台にまで1時買い上げられてしまった。

 うがった見方をすれば再選を目指すブッシュ大統領の最大のアキレス腱は国内では雇用、国外ではイラクであり、そのためには唯一の味方である小泉さんの協力は欠かせない。

 そのため総裁選が終わるまでは円安気味にしておき、その後は米国内の製造業に配慮してドル安にもっていく。伝統的に共和党は東や西の海沿いでは弱い。NYもカリフォルニアも民主党が強いが、雇用に直接影響する製造業の多い中西部は共和党色が強いため、ここで雇用を増やさなければ再選は危ないと踏んでいるのであろう。それにはドル安が効果的である。再選を目指すブッシュ大統領にとって、イラクでは日増しに反米色が強くなり、国内でも戦費負担で財政が悪化していることもあって、小泉政権の協力は欠かせないし、戦費負担も円高の方が頼み易い。そこでシナリオ通りの円高ドル安になったのではないだろうか。

 これはまことに日本にとって厄介なことであり、景気に明るさが仄見えたとしても内需が支えているわけではなく、米経済の回復とそれに伴う設備投資が主因であり、また売上げが伸びないなかでのリストラによる企業収益の改善が支えているのだから、円高が折からの回復の足を引っ張る可能性は強い。組閣の内容と円高で9月22日の東京市場は大荒れとなったが、ブッシュ大統領訪日までは上下には大きく動けまい。むしろ調整場面となる可能性が出て来た。マクロ面ではまだ懸念の残る日本経済だが、個別では絶好の押し目を見せる銘柄も出てくるはずなので、ここ徹底した押し目狙いで臨むべきだろう。