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三原淳雄
 
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2003年6月19日
三原 淳雄

 
直接投資基本法の設定を望む<
 

 「強気相場は絶望のなかで生まれ、懐疑のなかで育つ」とはよく言ったもので、政治は不況そっちのけで外交三昧、景気の実体は少しも改善されず、日経平均はとうとう最高値の5分の1にまで下げたところから、やおら首をもたげてきた。

 安値からはたかだか日経平均で約1,300円ほどの上げだがやはり市場の効用は大きく、世の中何となくホッとした気分も漂いはじめた。
これまではとかく株が下げても自分は株など持っていないので関係ないというムードが強かったが、相次ぐ年金代行運用の返上、年金そのものの危機、加えて実質上の国営化を意味する「りそなグループ」への公的資金投入が相次ぎ、やっと株式の社会への効用が認識された感もある。

 かねてより株式市場は国民共有の大切な財産だからもっと大切にしようと叫んできたが、ここは改めて株式への認識を国民全体で考え直す好機ではないだろうか。

 ところが株価が急落する度に株価対策が求められ、応急手当ばかりでしのいできた当局が、例によって一寸株価が上昇すると途端に株式市場対策など忘れてしまったのは困ったことである。

 本来であればいまこそ「直接金融基本法」のような将来の日本経済を支える骨太の政策を決め、間接金融から直接金融への構造改革を行う好機なのだが、有事法制やイラク出兵のみが国会の中心議題となっていて市場など忘れているようだ。イラク出兵も大事なテーマだが、日本経済そのものがいまや有事なのであり、たったこれだけの株高で安心出来るような状態ではない。
神風にも似たタイガース効果もせいぜい1,000億円どまりであり、これをキッカケに関西経済を浮揚させるには政策の後押しが必要であることは言うまでもない。
そもそも今回の日本株反騰のキッカケは日本のゼロ金利であり、経済自体が改善され将来が明るくなるという見通しで上げているのではない。
つまり日本のゼロ金利を嫌がった資金が海外へ流れ、海外の高金利国の債券を購入するので金利が下がり株式選好が強まり、回り回って日本株を押し上げただけ。今回の世界的株高の原因の多くは日本からのゼロ金利の輸出によるものなのである。
従って自ら上値には限界がある。折角の株高でムードも好転しているいまこそ、政策転換などでぜひ後押しをして欲しいのだが、小泉、竹中チームにそれを望むのは無理だ ろうか。