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三原淳雄
 
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2003年05月22日
三原 淳雄

 
首相自ら「資産デフレ退治宣言」をするべき
 

 「りそな銀行」に公的資金が注入されることになった。

その昔「嬉しがらせて泣かせて消えた」という歌詞の演歌があったが、株価が下がる度に株価対策が叫ばれ、その都度小手先の対策が出て来て当面の危機を抑え込む。しかしその効き目も一時的でやがて再び株価は下がる。そしてまた金融危機が出てきて、また下げるを繰り返している株式市場の姿は、まるでこの歌とそっくりである。

 これは何も金融機関だけの問題ではない。世界経済の枠組みが大きく変わり、日本の政治も経済も大きな改革を迫られているのだから、国民も改革を求めるのは当然だろう。

 その国民の気持ちをうまく見抜いた小泉さんが、何とかの一つ覚えのような「改革」を叫び、古い自民党をぶっ壊すというキャッチフレーズで登場したのだが、この改革も中途半端なまま抜本的な改革にはほど遠く、壊されるはずの自民党が生き残り、国民の大切な財産である株式と金融の両市場がぶっ壊されてしまった。歌の通りに嬉しがらせて泣かされたのは結局国民なのである。

 今回の株価や金融対策も本来であれば日本全体の改革のなかに位置づけられるべきであり、目先の売りを抑えて郵貯などに無理に買わせお化粧してもすぐにメッキは剥げるに決まっている。だいたい株価対策という発想自体がおかしい。株価が下がることの怖さを首相以下政府が本当に認識していれば、危機の度に株価対策なんて目先の言葉が出てくるはずもない。
本来であれば「豊かな国民になって貰うための大胆な政策」を打ち出すのが筋である。
株式市場や不動産市場が活性化すれば、金融機関はもとより企業の活動や消費も活性化し経済全体に勢いが出てくるし、運用に苦しんでいる年金や財団の懐具合も好転するのだから、対策という言葉は死語にして、「日本経済新生政策」とでもすべきである。それにはまず首相自らが「資産デフレストップ宣言」を発し、自らのリーダーシップで政府、与党、行政を引っ張っていくことだ。株式市場が活性化して損をする人はいない。市場に厚化粧をするのではなく、経済そのものを改革するための市場の必要性を説き、活性化案を総合的な政策として打ち出すことだ。第二、第三の「りそな」を防ぐには資産デフレ退治が特効薬なのである。