「株が下がるのはイラク戦争のため」と竹中金融相はしたり顔でノー天気なことを言っていたが、自分にも大きな責任があるとはついぞ気がついていないところが恐ろしい。
本来金融担当大臣なら何故株が下がるのか、市場は何を不安視しているのかなどについて、市場の声に耳を傾けるのが仕事のはずであり、市場の不安や不信に対応し適切な政策を行うことが大臣の仕事のはずである。
確かに戦争は不安を掻き立てるし、不安を先取りして市場は時として大荒れとなるが、それも開戦までのこと。
いったん始まってしまえば、むしろ市場の関心はその後に移るのが市場特有の先見性なのである。
今回のイラク戦争でも開戦と同時に原油や金は下がりはじめ、ドルは上がりはじめたのが好例である。
不安も期待も市場は先取りして動くのだから、市場の下げに対応するには担当者としては不安の除去と同時に、将来への期待も市場に持たせることが大切なのであるが、どうもそのあたりの機微がお判りにならないようだ。
賢者は歴史に学ぶと言われるが、近くはレーガン大統領にでも少しは学んでみたらどうだろうか。
レーガン大統領は当選するとまず「強いアメリカの復活は国民を豊かにすることから始まる」と、判り易い言葉でまず大幅減税や前倒し償却、小さな政府の実現を公約し、実際にストを行った航空管制官を全員クビにしてしまった。
減税の財源は大きな政府を解体するという大手術で賄う姿勢を見せたのである。
役人が減れば大胆な規制緩和も可能となる。
たちまち民間が活気づいてレーガン政権2期目にはアメリカが見事に復活し、遂にはソ連を解体させてしまったほど、強いアメリカは見事に復活したのである。
90年代のNY市場の大幅上昇の基盤は、レーガン時代に築かれたといっても過言ではあるまい。
イラク戦争でも過剰とも思えるアメリカの自信をたっぷりと見せられたが、一時は経済力ではアメリカを大きく上回っていた日本が何故こうなってしまったのかを、首相以下まず謙虚に反省しレーガン大統領の例に見習うべきだろう。
幸い日本にはヒトもカネも技術もある。
足りないのはそれをうまく組み合せる政府や行政の知恵である。
そこに気付けば、再び日本も輝きを取り戻すだろう。
世界が獏とした不安に陥っているいまは、むしろ日本にとって復活のチャンスなのである。
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