戦争は人心をかきみだし不安を掻き立てるもの。
昨年来一体イラクはどうなるのか、国連は果たして上手く調停できるのか、原油価格はどこまで上がるのか、世界経済への影響はどうなのかなどなど、それこそ考え始めたら夜も眠れないほどの思いになるのは当然だろう。
これは世界中の投資家にとってはさながら喉にさっさった棘みたいなもので、これでは食欲など出て来る筈もない。
折からの世界的な景気減速懸念もあって、世界同時株安現象となったのも当然である。
なかでも日本は世界に先駆けてバブル崩壊の荒波に見舞われ不良債権は山積しているところに、資産デフレの悪化まで加わっている。
おまけに3月末とあって金融不安まで心配しなければならない状況。
このなかでのイラク問題だっただけに閉塞感は強かった。
アメリカも似たようなもので、ITバブルの崩壊や同時多発テロの後遺症によって自信喪失気味なところにイラク問題が重くのしかかっているのでは、とても投資などする気にはなれなかっただろう。
ところが相場とは面白いものでこんな弱気に乗じて儲けようとする動きも一方で出て来るもの。
つまり空売りである。
弱気が増えれば相場は下がるので売って儲けるのが狙いだが、持っていない株を売るのだから状況が変われば急いで買い戻さなければ損になる。
その空売り筋を吃驚させたのが米英軍によるイラク攻撃が始まった。
戦争が始まれば不安は期待に変わる。
大慌てで買戻しが始まり、つれて現物の買いまで市場に戻ってきたので、NY市場のムードは一変してしまうこととなった。
債券に逃避していた資金も株に戻り始めたため、NY市場のダウ平均は週間としては20年ぶりの大幅上昇となり今年の高値となった。
それでも、24日の米株式市場では、短期終結の観測が後退したことなどを背景に売りが膨らんでダウ平均が前週末終値307.29ドル安の8214.68と急反落した。
今後の戦況によって多少のぶれはあるだろうが、株価が基調として回復方向に向かえば、消費者心理を改善するだろう。
日本にとっても外患のひとつが消えたことになる。
問題は内憂である。
イラク戦争は小泉首相にとって前言を翻し、政策転換を行うチャンスであり、ここで思い切った補正予算や税制改正に踏み切れば、日経平均1万円は超えるだろう。
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