三原淳雄の言いたい放題 mihara-atsuo.com
プロフィール
三原淳雄
 
  ホーム言いたい放題 > バックナンバー

2003年01月07日
三原 淳雄

 
今年は面白い年になる予感
 

 昨年の株式市場には数十年ぶりの二つの大きな変化が出て来た。 日米株価、長期金利と配当利回りの二つの逆転である。 1960年代にはともに三桁台だったニューヨークのダウ平均と日経平均がその後の日本の高度成長によって差が広がりはじめ、1980年代には何とその差は10倍以上にもなった。 NYが3000ドル、日本は3万円というほどの差になったのだが、昨年11月に再び逆転されてしまった。 これは明らかにアメリカ経済の復活、日本経済の停滞を意味する。 成長の低下は当然のことながら金利の低下となる。 ましてや日本のようなデフレ下では借金は重荷になるので、返済出来る企業や個人はどんどん返済するし、借りたい企業や個人はリスクがあるので貸して貰えない。 かくして天下の回り物であるはずのカネが回らなくなり、経済は低迷し縮小する。

 カネが余れば金利は下がる。 かくして長期金利は1%割れとなり、一方で株価の下落で配当利回りは上昇するのでついに逆転されることとなった。

 振り返ってみれば以前に金利が逆転した1950年代半ばの日本経済は高度成長の入口にあり、配当よりも株価の値上がりの方が期待された時代だった。 そのころ出てきた言葉が「成長株」であり、この言葉は市場のみならず日本中いたるところで「彼は成長株だ」といった使われ方をしたものである。 その成長株という言葉そのものも、このごろではさっぱり聞かれないが、それほど日本経済は落ち込んでしまったのだろうか。 この二つの逆転現象から考えれば、確かに時代は変わったと言えるだろうが、いまの日本の落ち込みぶりはやや度が過ぎている感がしないでもない。

 改めて日本を見直せば問題は山積しているにしても、まだまだ強みも沢山ある。

 老いたりとは言え元気で優秀な労働力は豊富だし、技術力もノーベル田中さんが好例だがまだまだ高い。 おまけに個人にはカネが唸るほどあって金利のつかない口座に眠っているではないか。 要はこれらの大切な資源の有効活用が出来ていないのであり、政策、税制のよろしきを得れば、昔とは違った形での日本再生は可能である。 景気見通しでは多数派は常に外れるというジンクスもあることだし、その意味で今年は絶望的な状況のなかから、日本の復活を予感させる何かが出て来そうな気がしてならない。