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三原淳雄
 
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2002年11月09日
三原 淳雄

 
泰山鳴動してねずみ一匹
 

 これが小泉首相の得意技なのだろうが、はじめに脅かして反対が出ると結局丸投げ。 今回も与党の猛反対にあって最後のところで虎の威だけが頼りの竹中さんは梯子を外されてしまった。 その結果、実効性にまったく欠けた総花的な対策しか打ち出せず、たちまち市場は落胆してしまった。 政策当局には市場に対するセンスらしきものは全くないのだから、市場も反応のしようがない。

 本来政策担当者の心掛けるべきことは市場の声を聞き分け、市場の心配や懸念を取り除く政策を打ち出すことのはずである。 アメリカのFRB議長であるグリースパン氏などは、常に市場の動きに注目しその声に耳を傾けているし、それどころか市場こそ政策への最大の批判者であるとして尊敬しているのだそうだ。

 一方世界第二の規模の市場をもっている日本では,なぜか市場は尊敬もされず重視もされていない。 証券不祥事がかつて続出したこともあっていまではむしろ悪者扱いの感すらあり,市場の声など当局には全く聞く気はない。 本来であればデフレ対策には最も即効性があるのは株式や土地への税制を変え、有り余る個人の資金を市場に誘導する仕組みを作るべきなのだが、お題目のひとつにはなっているもののいまいち気合に欠けている。

 いつものことだが何か対策を、と声が出るたびに出て来るのは毒にも薬にもならない政策を、それも小出しして来るだけ。 まるで下手な戦争と同じでたちまち市場の暴力にやられて株価を下げ、また小出しにしてやられるの繰り返し。 まるで漫画である。 結局損をするのは国民であり政策者は痛くも痒くもないので、政策ミスに対して反省も謝罪もない。

 また大阪の人気寿司チェーンが金繰りの難で倒産した。  まことに困った国に住んでいるのだが、だからといって国にすがってばかりもいられない。  その日本にもなかには立派な経営がまだたくさんいらっしゃるのだから、その人達に賭けてみるしか投資家にとって身を守る術はないのかもしれない。  もう政策などに頼っている場合ではない。  自分の身は自分で守るしかないと腹をくくるしかあるまい。