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2002年10月03日
三原 淳雄

 
知恵と度胸でデフレに克とう
 

 「ピンチはチャンス」とはよく聞く言葉だが、実際にピンチをチャンスに変えようと考えるなら知恵と度胸が必要となる。

 ただじっとしているだけでピンチが去ると考えるのは甘いだろう。 チャンスに変えるためには何故ピンチを招いたかを振り返る必要があるし、その欠陥を改めるためには度胸もいるだろう。 何も変えずにこれまで通りで順調に全てがうまく運んでいれば、当然ピンチになるはずもないのだから、どこかにピンチを招いた原因があるはず。

 いまの日本の惨状は、政府がその原因を知りつつ抜本的な対策を誤り、目先の小さなピンチを先送りしてきた挙句、そのために大きなピンチを招いた不作為の結果である。

 この日本の絶望的なピンチに当局として初めて危機感を表明したのが日銀であり、今回の日銀による銀行保有株買い上げ構想は高く評価されて然るべきだろう。 知恵も出したし、日銀らしからぬ度胸のよさもよくわかるのだが、この日銀の英断に対する政府の反応がいまいちいただけない。 市場はこの日銀のプランに対して株価の値上がりで歓迎したのに、小泉首相自らが「デフレに即効薬なし」と切り捨てたため株価はその後下がり、折角の日銀の英断がこのままでは立ち枯れになりかねなくなっている。

 世界同時デフレが懸念されている緊急の事態なのだから、即効性があろうがなかろうが、それが伝統的手法か非伝統的かなどぐだぐだ言うのではなく、打てる手は全て打つのが政府の役目だろう。 それにはまずチンプンカンブンな証券税制を凍結か延期し、株と不動産については目先5年ぐらいの期間は全て利益には無税とするぐらいの知恵を出すべきである。

 これなら市場にはたちまち効くはずだし、土地と株が回復すればデフレなど吹っ飛ぶだろう。 要は政府の知恵と度胸の問題なのである。