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22002年08月29日
三原 淳雄

 
秋風とともに懐も涼しくなる秋
 

 日経平均の一万円割れは今回で三回目(先日一日だけ一万円を越えたから正確には四回目と言うのかもしれないが)だが、前の二回の時ほど世間に危機感が乏しいのは何故なのだろう。

 狼少年ではないが、良く言えば危機馴れかも知れないし、悪く言えば国民も投げやりになっているのかも知れない。 一方、アメリカでは市場の下落に対しての危機感は日増しに強まり、大統領自らが株式市場のもたらす危機の回避に向けて、元凶となった企業経営者への処罰はもちろん、株価対策として減税も含む対策などを矢つぎ早やに出している。

 「危機だ」と騒いでいるのは一部マスコミや学者、評論家だけで、危機など起きていないではないかと、まるで自分も評論家になったようなコメントしか出来ない小泉首相とはえらい違いである。 そんな首相の支持率がまた高くなりはじめているのは、もはや真夏の夜の夢としか思えないのだが、日経平均三度目の一万円割れを放置したツケは、何れ国民に大きなツケとなって回ってくるだろう。

 一部の官僚には危機感があるとみえて、そこで出てきたのが国債の個人消化という奇策である。 一口一万円から購入出来、しかも利息は非課税にする、おまけに巨費を投じて人気NO.1タレントの藤原紀香のポスターまで作って「国債って、いいかも」とキャンペーン中だが、このままでは「国民って、いい鴨」と言葉を変えて読んだ方がいい。 自分では何もせず「なるようにしかならない」と諦めるのも国民の選択だが、選択したからにはその結果について甘受する覚悟もしておくべきだろう。

 九月の中間決算を控え日経平均がさらに下落するようなことにでもなれば、危機感どころか危機はいたるところで頻発してくるだろう。 税制も含めていまこそこの危機をバネにして日本経済及び市場の構造を抜本的に改革するしか道はないはずだが、残念ながら国にも国民にもその意思はなさそうだ。 秋風とともに懐も涼しくなる秋にならなければいいのだが。