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三原淳雄
 
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2002年04月04日
三原 淳雄

 
政治家の胆試となる税制改正
 

 3月危機は何とか封じ込めたようだが、政策当局にとってはこれからが正念場なのだが、首相ははや楽観ムード。 油断をするとまたたちまち市場からこっぴどくやられることになるのは必至である。

 2月の日経平均9,400円から、何とか一万円台に持ち上げただけ、それも空売りの規制など半ば恫喝に近い方法で目先を取り繕ったつけは早晩回ってくるはず。 転ばぬ先の杖を大急ぎで見つけなければなるまい。

 いまの日本が抱えている問題は根が深い。 目先き的な対策で乗り切れるような生易しいものではない。 そのためにはたとえ国民から目先的には評判が悪くても、やるべきことはきっちりやらなければ、傷口はますます大きくなるしコストも高くなる。

 まず手をつけるべきは抜本的な税制改正である。 従来の税の原則は公正、平等、中立が旨とされてきたが、いまは非常時でありこの難局を乗り越えて前進するためには多少原則を外してでも、とにかくカネが世の中に回るような税制にするしかない。

 昔の日本と違っていまあるところにはカネはある。 問題は先行きが不安だからこれらのカネが費われないことである。

 従って相続、贈与に関しては抜本的に考え方を変えるべきだ。 稼いだカネを使ってしまった人たちはノータックスで、辛抱して残したら税金を取られるというのは腑に落ちない。

 それでも貧乏性というDNAを持つ国民は、せっせと1,400兆円も貯めてしまい、ペイオフでオロオロし相続税の心配までしているのだから、これではまるで漫画ではないか。

 このカネのほんの一部でも動かせれば、世の中の景色はガラッと変わるはずである。

 株や土地にこのカネが回ってくれば、国民全体の資産も上昇するし、消費も勢いが出てくるだろう。 政治家もこれぐらいの知恵はあるだろう。 要は小さな正論が好きなメディアを説得し、目先の悪評に負けない度胸があるかどうか、いよいよ正念場である。