日本経済の急速な悪化が、外国の政策当局者や投資家の懸念を大きく高めつつある。
米誌「フォーブス」などはこのままでは日本発世界恐慌になりかねないとの大特集を組んでいるし、こうした日本への見方の増加は株価や国債の下落という形で既に市場に顕著に出てきた。
本来ならこの悪循環を断ち切るのが「構造改革だが、依然として聞こえてくるのは掛け声ばかり、国民もやっと小泉政権の実体に気付いたのだろう、支持率も急速に低下してきた。
これは当たり前の話しで、これまでの高支持率がまやかしみたいなもので「三方一両損」なんてぬけぬけと言ってのける首相を支持している事自体がおかしい。
政府のやるべきことは国民の生命と財産の安全を守る事に尽きるのであり、三方一両得になる知恵を出すのが政府の役目のはずである。
就任以来、実際にやったことと言えば株価をずるずると下げて130兆円も株式の時価総額を失ってしまったし、そのため不良債権も株式の評価損の拡大でますます増えるばかり。
負債を圧縮するためには名目GDPの成長率をプラスにすることがカギなのだが、まだこの先2〜3年は低成長を覚悟して、なんて首相自らがのたまっているのでは、事態が好転する期待などは到底持てないのは当たり前。
だから更に円も株も債券も売られるのである。
株など持っている人にとって先行きが不透明なら取り敢えず売っておこうと考えるのは自然なこと。
そして売った資金は行き先がないので金に行き、日本だけの不自然な金ブームとなり、デフレ下でのゴールドラッシュという珍妙な現象が起きる。
これは庶民の自然な自衛策なのだろうが、ここまで投資家を思い詰めさせた政府の罪は万死に価するのではないだろうか。
十数年前にはあれほど輝いていた素晴らしい日本を、政治や行政の怠慢によって目先しか考えない先送り策が、いまや日本を、アルゼンチン以下の国にまで落としてしまい、結局痛んだのは国民なのである。
しかし、ここまで事態が悪化すると逆にマーケットはすでにほとんどの悪材料を織り込んだのではないだろうか。
マクロでは視界はまだ真っ暗らだが、個別でみるとかなり売りこまれ過ぎた銘柄も続出している。
折りからのブッシュ大統領の訪日もあり、下振れリスクはむしろ縮小する可能性の方が大きい。
夜明け前がもっとも暗いように、むしろ反転の材料が徐々に整ってくるのではないだろうか。
|