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2002年01月31日
三原 淳雄

 
危機を直視してこそ対策も立つ
 

 ことある度に噂や投機の対象となっていたダイエーの再建案が出てきた。

 その内容の細目についてはマスコミなどであれこれ論じられているが、ダイエーの再建案に関して評価すべき点が多い。 これだけ問題が大きくかつややこしくなっているケースで最も肝心なことは、何が最も大切かで何をしようとするのかを世間に示すことである。

 今回のダイエーの場合は、膨大な債務にもかかわらず何が何でも倒産だけは避ける。 そして全力を挙げて再建にとりかかるという強い意思が表にはっきり出ていた点は、大いに評価していいだろう。

 関連会社まで入れると十万人の雇用があり、取引先も数千にのぼるという規模の大きさからみて、ダイエーが万が一破綻すればその影響はメガトン級であり、そうでなくとも不安定さを増している金融システム不安へとつながる可能性も大きかったのである。

 流石の小泉首相も如何に「痛み」を強調しているとは言え、ダイエーほどの規模になってくると青木建設倒産の時のように「改革が順調に進んでいる証拠」などとのんびりしたことは言ってられない事に気付いたのだろう。

 昨年末から急に緊迫度を増した金融不安のなかで、遅きに失したとは言え「危機を正面から直視し、迅速な対策」が行われたのは、これまでの先送り優先という日本の体質を大きく変えるきっかけとして欲しいものだ。 このダイエーのケースを踏まえて、政策のスタンスも大きく舵を切り始めたふしもある。 折りからのアフガニスタン復興会議にアメリカからはパウエル国務長官、オニール財務長官が相次いで来日し、日本経済の現状に対して大いなる危機感を表し、早急に実効性のある対策を要求しはじめた。

 これまで日本のことは日本に任せるとしていたブッシュ政権の方針も、日本の余りの惨状に変更を余儀なくされたと考えられなくもない。 アメリカ経済のV次型回復期待もやや後退している時だけに、世界で二位の規模を持つ日本経済のこの態たらくにしびれをきらした感もある。 二月にはブッシュ大統領自ら日本にやってくる。 日本政府としてもそれまでに改革後の日本の将来図を、もうそろそろ用意して内外に示さなければならなくなっていることも確か。 遅きに失したが危機を直視してこそ、経済復興のプランも作れるのである。