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2001年06月21日
三原 淳雄

 
相場と投資家心理のパターン
 

 投資家の心理にパターンがあるように、相場にもパターンがある。

 有名なアメリカの格言に「強気相場は絶望のなかで芽生え、懐疑のなかで育ち、楽観のなかで成熟し、幸福のなかで消えていく」というのがあるが、相場にも絶望から幸福までのパターンがある。

 一方、相場もぼやっと見ていればただ株価が動いているだけにしか見えないだろうが、その値動きを通してそれぞれ時期に応じたパターンとなるものなのである。

 直近のNY市場がいい例だが、90年代初めの上昇相場のスタート時点では、景気は最悪で不良債権も問題化していたし、金融システムも中南米危機の病み上がりでふらふらしていた。 天下の大銀行のいくつかが、日本の銀行に救いを求めていたぐらいだったのだから、景気は相当に悪かった。

 しかし、そこを底に株が上がりはじめたのである。 そのため当初は「不景気の株高」とか「ジョブレス リカバリー」(雇用なき回復)とか、こんな時に株が上がるのはおかしいといった見方が圧倒的だったのである。

 謂わば絶望的な状態のなかから株だけが高くなりはじめたので、ほとんどの人にとって、相場の方が間違えていると思えたのであろう。 相場のパターンで言えば「金融相場」のスタートだったのである。

 FRBの金融政策のよろしきを得て株価が上昇してくると、当然消費や設備投資を活性化するので企業の収益も回復してくる。

 そして始まるのが「業績相場」ということになる。 アメリカの場合は金融相場から業績相場へのスイッチがうまくいき、折からのITブームもあって株式市場は大活況となり、遂にはダウ平均の1万ドル、ナスダックの5000ポイント超えとなり、過熱感がでてくることとなった。

 そこでFRBが金融を締め上げる政策に乗りだし株価は下げているのだが、これが「逆金融相場」である。 金融を締め過ぎたためにいささかおかしくなりつつある米経済だが、ここでの下げは「逆業績相場」であり、企業の実務悪が株価を下げるのだが、この状態から抜け出すには再び前に戻って金融を緩める政策が行われる。 いま将に世界中が金融を大幅に緩めているので、何れ絶望のなかから金融相場の芽生えが出てくるのかもしれない。

 それぞれのパターンに注目していただきたい。