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三原淳雄
 
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2001年06月15日
三原 淳雄

 
どうして株は安いのですか
 

 このごろ、内閣の支持率は天にも昇るほど高いのですが、何故株は安いのですかとあちらこちらで聞かれることが多い。

 経験則で言えば、これまでは大体内閣の支持率と株価はパラレル(平行)で動くことが多く、それだけに不思議に思う人が多くなっているのだろう。 強いて答えるとすればこうなる。

 小泉内閣発足当時は、変化を先取りするのが得意な市場のこと、なかでも外国人などは「今度こそ日本は変わる」と一斉に買ってきたので、株式市場も大いに活気づいたが、いまや一転して気力で閑散な市場となってしまった。

 言わば小泉内閣誕生と言うカンフル剤によって、一時的なユーフォリア現象が起き「今度こそ日本は変わる」とばかりに先物買いに走ってみたが、カンフル剤の効き目が薄れてユーフォリアも失せ、醒めた目で見回してみたら、そんなに浮かれてばかりいられる場合ではないと、はっと我に帰ったのだろう。

 病院にたとえれば小泉医師による手術が、うっかりすると麻酔なしで行われるかも知れないし、手術のタイミングもこんなに体力が落ちた時だけに、「手術は成功したが患者は死んでしまう」可能性のあることに気付いたのである。 改めて周囲を見回せば小泉医師の周りの医師たちも何とも心もとない。

 「骨太の改革」と言葉は勇ましいが竹中医師は既得権勢力や官僚と戦うには坊ちゃんみたいだし、塩川医師も「何なら日銀にお願いしまひょうか」といった感じで骨太さとはほど遠い。 おまけにインターンの田中医師があちこちで雑音を立てるから、本格的な手術の手はずすらまだ整えられない。

 だいいち手術に欠かせない輸血用の血液や止血剤などもまだ揃っていない感じなのだから、経済の血液の供給源である投資家たちも、自らの血液を提供するリスクはとらないだろう。 うっかりすると自分が貧血症になってしまいかねないのだから。

 病院の外の景色も寂しいものがある。

 アメリカもいつ本格的に回復するのか、まだFRBの金利引下げや減税による効果が出てきていないし、つれてアジアも失速気味でユーロ圏も減速しはじめた。 これではとても他人様の面倒まで見てはくれまい。

 小泉医師による本格的な診立てや手術の開始はどうやら参院選後になりそうで、だとすれば当分相場の梅雨明けは先になりそうだ、と言うのが答えである。