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2001年05月25日
三原 淳雄

 
違う視点から市場を見る
 

 東京証券取引所(東証)の売買高の半分以上のシェアが、外国人投資家によって占められている。

 いまや世界中の殆どの市場がグローバル化し、誰でも何処の市場にも参加出来るのだから、東証の主導権が外国人投資家に握られていることに対して、特にナショナリスティックな感情をもっているわけではないが、気になるのは外国人が買い越し、日本人が売り越しとなっていることである。

 これは今回が初めてではない。 これまでも日本経済が不調になったり、株式市場が大きく下げたりといったことは度々あったが、改めて振り返って見ると、日本の投資家が大きく売り越している時には、必ずと言って良いほど外国勢が買い越しているのである。

 つまり、株価が大きく下げている時を狙って買いに来ている外国勢に対して、わざわざ安値で日本の投資家が譲ってあげているのである。 古くはニクソン・ショックやオイル・ショック、そして80年代のプラザ合意による円高ショック、そして今回のバブル崩壊ショックなど、ショックは度々あったのだが、いつの場合も底値はきれいに外国勢が拾っていったというパターンがまだ続いている。

 このことは数字でもはっきり表れていて、かつては約7割も日本株を保有していた日本の個人投資家が、ショックの度に株を手放していき、その株を拾ったのが日本の金融機関と外国人なのである。

 そしていつの間にか日本の個人投資家の株式保有率は東証の15パーセント前後にまで減少し、代わって外国人のシェアがいまや個人のそれを上回る水準にまで増えている。

 加えてかつては個人の売りを買っていた日本の金融機関は、いまや持ち合い株放出で売り方に回ったために、東証の買い方は外国勢と日本の一部の投信、そして年金となってしまった。

 そしてその結果が外国勢の東証シェア5割となり、例によって安値圏での日本人売り外国人買いの構図が繰り返されているのである。

 この原因は多分リスクに対する考え方の違いなのだろう。 安くなればリスクが低くなると考える外国人と、もっと下がると考えがちの日本人。 これではいつもいいとこ取りされるのも当然かも知れない。

 小泉政権も特に改革という言葉のラッシュとなっているのだから、投資家も投資方法の抜本的改革を考えては如何だろう。