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三原淳雄
 
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2001年05月18日
三原 淳雄

 
見えてこない改革への道すじ/strong>
 

 異様に高い支持率でスタートした小泉政権だが、これから改革の内容がハッキリしてくるにつれ、その真価が問われる事になる。

 高指持率の主因は、過去十年以上にわたる失政に次ぐ失政に対してあきれ果てていた国民が、今度こそ変わるのではないか、という期待だろうが、旧勢力(政官とも)の抵抗もこれから高まる可能性もあり、高支持率の反動が気に懸かる。

 期待が失望に変わるような事態になれば、人気は一気に贔屓の引き倒しに変わりかねないからである。

 改革には痛みも伴うが時間もかかる。

 戦争や革命といった場合なら、一気に改革も進むだろうが、平時の改革は容易ではないことを、まず国民は理解する必要があるだろう。 小泉首相のモットーが「恐れず、ひるまず、とらわれず」なら、国民の側も「焦らず、怒らず、とらわれず」で改革の行方を冷静に判断する辛抱強さが求められるのではないだろうか。

 不良債権の処理についても、これから議論が噴出してくるはずだが、参院選を控えている中で景気、雇用に対する配慮なしのハードランディング路線は難しいだろう。

 小泉首相が不良債権処理について、誰がイニシャティブをとるのか、いつから本格的に行うのかといった肝心な点については、まだ明らかにしていないのも「言うは易く、行うは難い」ことの表れである。

 不良債権処理という言葉はいかにも正論であり、国民の共感を呼び易いが、処理をするために不可欠な市場の整備への対策も、まだ見えてこない。

 不良債権を抜本的に処理するためには、その元凶である不動産市場を整備し、流通を高め税を軽減するといった抜本的な土地政策の見直しがまず必要であり、株式市場についても個人金融資産の活性化のための税制の整備を早急に行わなければならない。

 ところがこの肝心な政策は全て次ぎの国会へと先送りされてしまった。 小泉政権への期待がこれでは裏目に出るリスクもある。

 従って外国人投資家も、日本の変化への期待は持ちつつも、日本国内の動きに左右されない国際優良株を中心に日本株を買っているようだ。 残念ながらいまの市場の主役は外国人。 彼らがどう改革を評価するのかに注目したい。