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三原淳雄
 
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2001年03月21日
三原 淳雄

 
いまこそ「災い転じて福と為す」チャンス本
 

 日銀による実質ゼロ金利、量的緩和政策、アメリカのFRBによる今年第34回目の金利の引下げ、そして森・ブッシュ会談などなどではっきりしてきたことは、どうやら今年は世界中でカネがジャブジャブと余る年になりそうだ、ということである。

 日本がデフレ下にあることを日本政府が正式に認めたことによって、日本の採るべき道もはっきりしてくるだろう。

 首脳会談でも森首相は、やるべきことのプライオリティをはっきりさせよと言質をとられているし、これはつまるところまずデフレを克服することが一番然る後に不良債権処理、そして財政再建という道筋になるはずである。

 橋本政権はこのプライオリティを間違えて、いきなり財政再建に走ってしまったために、かえって傷を大きくしたという貴重な学習効果が、今回はしっかりと生かされることを期待したい。

 その期待感もあって、一時は底無し沼も覚悟しなければならないのかと思わせた株式市場にも、春の訪れと言うにはほど遠いものの、やっと泥沼からへとへとながら立ち上がる気配を見せている。

 ご案内のように株式市場は世の中の変化を先取りして動く。

 日銀による量的緩和も当面企業の借入れ意欲が乏しければ余資は株式市場に回ってくるだろうし、経験則からみてアメリカも利下げの効果は六ヶ月後出てくると言われているため、そろそろ先取りの気配が出てきてもおかしくはない。

 ただ心配なのは例によって政策及び政治家たちの市場への配慮が欠けている事と、ここで株価が回復してくると、たちまち手を抜いてしまうきらいが強いことである。

 株価は上にも下にも変化を先取りして動くのであり、肝心なことは株式市場の期待を裏切らない政策を今回はしっかり行うことだろう。 「災い転じて福と為す」にはいまは絶好の機会であり、やっと株式を持っていない国民の間や、株を敵視していた評論家やキャスターどももやっとことの重大さに気付いた折でもあり、ここは思い切った投資家優遇税制の導入や、市場の改革を行うことだ。 折角経済政策を打ち出したのだから、後は着実な実行あるのみを市場は期待しているのである。