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三原淳雄
 
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2000年11月24日
三原 淳雄

 
いまこそ政治の出番
 

 仇敵同士が長い間睨み合いを続けると、結果はロクなことにはならない。 怨念が残るからである。 とことん議論しお互いがそれによって納得し、後にしこりを作らないといわれているアメリカでも、大統領選挙の結果がこんなに長引けば、将来のホワイトハウスの指導力は大いに低下するだろうし、経済にも悪い影響を及ぼしかねなくなってきた。

 日本も同様で取り敢えずは一応の決着を見た政局も、このごたごた騒ぎで森首相のそうでなくても落ちていた求心力が、下がることはあっても上がることはないだろうし、税制をはじめ大事な改革もまた先送りされる懸念も出てきた。 これでは国民も元気の出し様がない。 本来政府の役目は誰が政権を持っていたとしても、その最大の任務は国民の生命と財産を守ることであり、そのことを瞬時たりとも忘れるべきではないはず。

 ところがいまの日米の政権争いを見ている限り東西冷戦時の緊張が失くなったために、その最も大切な政府の役割を忘れてしまったようだ。 それでもアメリカはまだいい。 景気は望ましい形でスローダウンしつつあるし、万が一落ち過ぎの懸念が出れば金融、財政両面から打てる手はいくらでもある。

 問題は日本である。 株や土地が失速したために個人も企業もそのバランスシートが大きく傷ついているのに、またそれこそが今回の不況の原因なのに、加藤さんは森降ろし、主流派は森政権維持ばかりで、景気をよくするという言葉だけは出てくるものの、熱意や具体策は全くなかったではないか。

 大騒ぎの挙句に所詮はコップのなかの争いであり、最後はいつもの通りの結果では国民は白けるばかり、こんな時にリスクをとって頑張ってみようなんて国民が出てくるはずもあるまい。

 いやしくも国民の代表たる政治家なら、その主義主張のどこかに国策や国益の基盤をしっかり持っていてくれなければ、この未曽有の難局を乗り切れるはずもあるまい。

 国民は国政を政治家に委ねているのだから、国民と共に歩める国策や国益をしっかり打ち出してくれなければ、国民も供に歩めるはずもない。 株式市場は常に時代の先を読むもの。 足元の企業収益が好調であるにもかかわらず下げ止まらないのは、政治に対する失望と諦めを織り込みつつあるように思えてならないのである。 危うきかな日本である。