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2000年01月07日
三原 淳雄

 
またも踏むのか前車の轍
 

 2000年が果たして節目となるのかどうか、何となく微妙な情勢になってきた。

 「失われた10年」と揶揄されるほど、まるで為す術もなく浪費してしまった90年代を、何とか新しい日本へと大きく切り替えなければならないのが2000年代の課題なのだろうが、また日本特有の悪い癖が出てきはじめたようだ。

 新生日本となるためには、旧来の悪しき習慣からいち早く決別し、新しい時代への対応を急ぐべきなのに、いささか経済や景気に立ち直りの気配が見えると、途端にまた後戻りしてしまうという悪しき習性が未だに見られるのは何故なのだろう。

 同様のことは1995〜7年にかけて、充分に学習したはずである。

 当時も景気は立ち直りの気配を見せ、株価は2万2千円台へと上昇し、これで長かった平成不況ともやっと脱出出来るのではと、国民全員が期待を持ちはじめた途端に、たちまち財政再建論議が出て来て、おまけにこれは約束だからと消費税もさっさと2%も上げてしまったからたまらない。

 弱々しく立ち上がりかけた病人に、ボクシングで言えばストレートを顔面にぶち込む結果となって、日本経済も株式市場もあっという間にノックアウトされてしまった。

 今回もまた同じ轍を踏みそうな気配が出てきたのは大いに気懸りである。

 それは財政が再びバラ撒き型となり、ペイオフの延長など、構造改革とは逆行する党策が大手を振って議論されはじめたことである。 ご案内のようにいまや日本中が借金漬けとなり、国も企業も家計もバランスシートはガタガタになっている。

 もちろんこの時期に財政を引き締めて、増税をしろと言っている訳ではない。

 こんな時だからこそ思い切った財政支出が必要であるのは確かだが、要はその使い道である。 いまや国や地方自治体の赤字は600兆円にもなっているのだから、ここからの赤字国債による財政支出は、将来利益を生むものにこそ集中的に投資されるべきであり、言いかえれば枯れた井戸への呼び水的な効果が期待出来る分野での投資が求められているのである。

 何の役にも立たない山奥の小さなダムや熊しか通らない道路など作っても、見返りなど出てくるはずもない。 そんな赤字財源こそ情報通信ネットワーク作りや、ベンチャービジネス支援のための財源として活用すべきなのではないだろうか。

 学校を出ても就職出来ない子供が40万人にものぼっている時に、土建屋ばかりを救済したって雇用など増えるはずもない。

 99年にやっと回復の気配を見せた株式市場も、その内容を見れば寒心に耐えない。

 株価が上昇しているとはいってもごく一握りであり、新高値の倍以上の銘柄が新安値となっているのだから、市場がこの現象によって何を告げようとしているのかは明白である。 つまり根本的な改革を市場は求めているのであり、場当たり的な景気対策では限界があることを市場は告げているのである。

 バラ撒き予算が選挙目当てであることは誰の目にも明白である。 こんな政策しか考えられないような政府は、今度こそ選挙で思い知らせてやる必要があるのではないだろうか。