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三原淳雄
 
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1999年11月19日
三原 淳雄

 
転ばぬ先の杖
 

 「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」の言葉があるように、人間とは忘れるのが得意なようだ。

 昨今の店頭株フィーバーやインターネット関連株の上昇ぶりを見ていると、再びバブル時代の騒ぎに似てきたのではないかと思えてならない。

 一方で乗り換えの動きも加速していて、オヤッと思うほどの会社がマサカと思うところまで株価が叩き売られたりしているのだから、また株を投機の手段としてしか見ない風潮が強まったのではないかと心配である。

 もちろんその全てを自己責任でおやりになっているのならとやかく言う筋合いもない。

 まるで「木の葉が沈んで石が浮いているような状況でも、それなりにチャンスはあるのだから、何をなさろうと自由だが、心配しているのはもし不測の暴落にでも見舞われたら再び「株で損させられた」とか「だから株など買ってはいけない」といった声が大きくなりはしないか、ということである。

 本来株式投資とはその企業の一部を保有するものであり、企業の成長とともに株価が上昇し、つれて株主にも恩恵が及ぶ形が一番だと信じている身としては、株ではなく株価を買っている感もしないではない今の市場に対して一抹の不安が残る。

 情報、通信関連株がこれからの大テーマであるのは確かであり、大きく成長することも疑いの余地はない。

 しかし大きく成長するまでにはまだ長い時間も必要だろうし、その途中で大きな波風にも襲われることもあるのだから、そこを充分承知してやっていただきたいのである。

 苗木が大木に育つまでには幾多の風雪に耐えているようなもの。 日本版NASDAQもいまの段階では正直言ってまだ海のものとも山のものとも不明だと私は考えているし、群がっているベンチャービジネスの連中も、何れが本物か偽物かもまだ不明である。

 実現すれば大化けする企業が出てくるのは確かだが、まだ兆しの段階なのだからよーく見極める眼力を養っていただきたいものである。

 浮かれ気分の付和雷同だけは慎むべきだろう。