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三原淳雄
 
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1999年10月22日
三原 淳雄

 
ウィナー テークス オール
 

最近耳にする「ウィナー テークス オール」という言葉を何気なくつかっているが、良く考えてみるとこれほど時代の変化をきっちりあらわしている表現は少ない。

戦後から一環して高度成長路線に乗っていた時代は、ほぼ全員が勝者の時代であり、毎年着実に収入も生活水準も上がっていった時代だった。 つまり「ウィナーズ」とウィナーが複数だった時代なのである。

ところが90年代に入るとバブル崩壊の余波ももちろんあるが、日本経済そのものが成熟してしまい、勝者になるのが大変な時代に変わっていったのではないだろうか。

人間が生きていくうえで変化はつきものなのだが、厄介なことに生来人間には保守的なきらいがあり、変化をなかなか認めない。

そのため大きな変化が起きても、当初はその変化の方がおかしいといった議論になりがちで、自ら変わろうとは中々ならないのだが、時代はそんなことにはお構いなしに変わっていくから始末が悪い。

そこで初めの言葉に戻ってみると、いまやウィナーが複数ではなくて、テークが単数になっていることに気付くだろう。

これからの勝者は複数ではなくて単数なのである。 つまり「1人勝ち」である。 最近の銀行の統合や合併、トヨタと日産の違いなどがお教えてくれているのは将にこのことであり、この変化にいち早く気付いた人たちが、いまの資格ブームを作っているとも言えるだろう。

企業が1人勝ちへの戦略を採れば、無用の社員は不要となる。 社員は無用と言われないために資格などを取得して自分を高める努力をする。 そんな時代にもう確実に入ったのではないだろうか。 一億総中流とか全員平等なんかにすがっているようでは置いてゆかれる時代になったのは確かである。