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三原淳雄
 
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1999年08月20日
三原 淳雄

 
変わりはじめた日本
 

 ファッションなら変化は厭でも目につくが、金融界や市場の変化はなかなか目につかないものが多い。 結果については株価や為替レートなどで知ることは出来るが、大切なことはその結果が出る前にその変化に気付いていなければ何にもならないということである。

 市場が最も喜ぶのは変化であり、それも当初は何故動くのか、その理由も分からぬままに株や為替が動くことが多い。 つまり敏感な人たちは他人が気付かない変化の兆しをいち早く察知して動いているからである。

 かつての日本のように右肩上がりの時代なら、無理して変化の兆しなど探さずとも、他人と同じにしていればそれなりに儲けることも出来たのだが、これからはそうはいかない。 万人がその変化に気付いた時はすでに手遅れで、市場はむしろ材料出尽くしとしか受けとらないだろう。 つまりリターンなどは期待出来ないと言っていい。 いまのような変化が激しい時代には、他人に先駆けて変化の兆しを探す努力を怠らないことが肝心だろう。 「よく見れば、なずな花咲く垣根かな」という歌があるように、世の中はまだ冬景色でも、なずなの花のように一足早く春を告げている例もあるのだから。 これからはなずなの花を探すことを心掛けてみたい。

 その意味で今回の大手銀行三行の持株会社構想は、いよいよ大変化が始まったという何よりの兆し(大きすぎて誰の目にも明らかだが)である。 この大統合はこれから日本経済のあちこちに少なからぬ影響を与えることは必至であり、当の金融界はもちろん、一般の様々な業界でも“アッ”と驚くようなことが次々に出てくるだろう。 それを読むには連想ゲームを楽しむ発想が必要だし、そのためには情報収集の努力も怠ってはなるまい。

 追いつめられ、尻に火がつくと今度は一斉に猛然と動きだすのが日本の常。 いよいよ変わるべくして変わりはじめたのだから、こちらもその変化に対応するべく新しい感覚で変化をチャンスに変えるべき絶好の機会が来たように思えてならないのである。