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1999年07月28日
三原 淳雄

円高をどう読むか
 

 円高気味となったところで株が安くなってきた。 再び悩ましい円高の心配である。

 悩ましいというのは、本来通貨はファンダメンタルズで決まるのが望ましいのだが、今回も不況下での円高進行であり、更なる景気への悪影響が心配されるからである。

 キッカケはサマーズ長官が日本の景気対策は円安に頼らず、内需拡大、市場開放、規制緩和で行うのが望ましいとの発言だが、この裏には膨大な貿易赤字に悩むアメリカのお家の事情もある。 しかも彼の主張は正論だから当然市場が円安へと振れることになった。 またその発言はファンド筋にとっては格好の材料を提供した形となり、新規のドル買いに加えてドルの買い持ちポジションの投げも呼んで一気に115円台へと急騰することになった。

 加えて日本では榊財務官から黒田財務官へと交代した時期と重なり、ヘッジファンドには何よりの商機となったのであろう。 しかし、この時期での円高は日本経済にとって好ましくないのは確かであり、更なる円高には介入が行われる可能性は強く、一気に大幅高となるとは思えない。

 115円以上のレベルでは利食い売りも出るだろう。 しばらくは115〜116円での攻防が続き、落ち着き場所は110円台後半になるのではないだろうか。

 過度なドル安はアメリカにとってもリスクが高く、資金流出はNY市場の下落、インフレ懸念の再来につながる可能性をアメリカ側も意識しているはずである。