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三原淳雄
 
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1999年06月23日
三原 淳雄

過度な悲観を排す
 

 人間社会には変化がつきものであり、変化のない社会などないのが当たり前なのだが、過去10年間の日本には世界的に起きている大きな変化を“知って知らぬふり”をしていたふしがある。

 つまり変化に本格的に対応しようとすれば、旧来の日本的構造は根本から変えなければならないし、そんなことをすれば、既得権者が大騒ぎをするから、内閣などはいくつあっても足りなくなるし、行政も小さな政府になっては大変だから都合の悪い話は政治レベルには上げないようにしたのである。

 しかし、いつまでもそんなごかしが通用するはずもない。 ましてや、いまは情報化時代でおまけにボーダレス化している分野も多いのだから、世界の基準から外れた業界や企業はまず市場でその株価が徹底的に売られることとなり、格付けもどんどん下がってしまう。 つまり市場によって息の根を止められるケースが続出してしまったのである。 それが、ピークに達したのが昨年9〜11月であり、長銀などの破綻が象徴的な出来事となった。

 そこまで追いつめられないと変れないのが日本の特徴で、流石にもう後がないところまでくると、やっと目の色を変えてくるし、悲観論や耳障りのいい、“ちいさな正論”ばかりを振り回していたマスコミも方向を変えてきはじめた。

 世界の日本を見る目も変わりはじめ、これまでの“世界のお荷物”と蔑視されていた日本に、今度は“世界の牽引役”としての期待が見られ始めた。(今回のケルンサミット)

 今日本の株式市場が堅調なのも、日本の将来への変化に対する期待感の表れだろう。

 もちろん 変化んへの対応もやっとその緒についたところだけに、楽観は禁物だが、過度な悲観も無用だといえるだろう。

 チャンスを積極的に探す時がやっと巡って来たのではないだろうか。